「お兄ちゃんだからできるよね」
当時3歳の息子が幼稚園に入園し、ドキドキの新生活がスタート。まだ、慣らし保育の時期だったため給食前にお迎えでした。お迎えに行くと、教室前で同じクラスのAくんとBくんのママがおしゃべり中。「私もいつかママ友ができるといいな」と思っていたところ、2人が振り返り、声をかけてくれたのです。
「こんにちは。今からお昼に近くのファストフード店に行くんだけど、よかったら一緒に行きませんか? うちの子たち男の子だから仲良くなれれば」とお誘いが! 私は思いがけない誘いにびっくりしつつ、とてもうれしくて「ありがとうございます! ぜひご一緒させてください」と、急遽一緒にファストフード店に行くことになったのです。
店に着き、子どもたちは「おもちゃ付きセット!」と即決。おもちゃはランダム配布なのですが「絶対これが欲しい」「これはいらない」と、ワイワイ盛り上がります。息子とAくんが欲しいおもちゃは一緒のようでした。
全員分の食事が揃い、おもちゃを同時に開けると息子は「わーい!」と欲しかった物で、Bくんも「僕もあたり!」と喜びます。しかし、Aくんだけは、いらないと言っていた物だったようで「なんで僕だけハズレなの。みんなズルい」と、大泣き。
Aくんママは「悲しいね。〇〇くん(息子)と一緒がよかったのにね」とAくんをなだめます。すると、Aくんが急に泣き止み、「ねえ、ちょっと貸して」と、息子のおもちゃを要求してきました。息子は、Aくんがかわいそうだと思ったのか「いいよ」とおもちゃを渡します。しかしAくんは「やった! もうこれ僕の!」とギュッとつかんで放しません。
さすがにAくんママが注意するかと思いきや、唐突に「〇〇くんって何月生まれ?」と私に尋ねてきました。不思議に思いながらも「6月です」と私が言うと、息子に向かって「Aは早生まれで1月だから、〇〇くんのほうがお兄ちゃんだね。Aはまだそういうのわからないの。だから、これと交換してくれる? お兄ちゃんならできるよね」と、同学年にもかかわらず、わけのわからない提案をしてきたのです。
しかし、息子はすかさず「やだ。それ僕のだから返して!」ときっぱり断ります。するとAくんママは「あら。お兄ちゃんなのにそんないじわる言うなんてかっこわるいよ!」と息子を責め立て始めます。思わず私が止めに入ろうとすると、見ていたBくんママが先に声をあげました。
「ちょっとAくんママ、それはさすがにダメよ。Aくんのためにならないんじゃない?」と諭すBくんママ。続けて「たしかに月齢は違うし理解の度合いもまだ差があるかもしれないけど、〇〇くんも、AくんもBも、誰がお兄ちゃんとかじゃなくてみんな平等なお友だちでしょ?」と説得してくれたのです。Aくんママは、だんだん周囲の目もこちらに向きつつあったのを察してか、少しむくれながらも赤くなりながら「変なこと言ってごめんなさい。Aもごめんねって返して」と親子で謝り、無事に息子のおもちゃは戻ってきました。Aくんママがきちんと謝ってくれたので、その後も、親子ともに変わらず仲良く遊んでいます。
子どもが成長する中で、自分の思い通りにならないことはたくさんあるでしょう。しかし、「うちの子はまだ幼いから」と言ってよその子に我慢を強いるのはよくないと私は思います。Aくん親子を反面教師に、人に嫌な思いをさせないよう親子で注意していきたいと、身が引き締まった出来事でした。
著者:山崎はる/30代・ライター。6歳の男の子と2歳の女の子の元気いっぱいな兄妹を育てるママ。共働き夫婦だが、夫の激務でほぼワンオペ状態。家事と育児、仕事の疲れは、大好きなどら焼きを食べて癒している。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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