反抗期の息子からの突然のお願い
息子は帰宅時間も遅くなり、話しかけてもそっけない返事ばかり。最近、同級生の女の子と付き合い始めたようで、放課後はその子と過ごしている様子でした。正直、彼女にもそのご家族にも迷惑をかけていないかと、私は密かに心配していました。
そんなある日、息子がめずらしく私にお願いをしてきました。
「弁当、2個作ってほしい」
理由を聞いても教えてくれず、「とにかく」と言って部屋に戻ってしまいました。強い口調に戸惑いながらも、私はその日から毎朝2個のお弁当を作ることにしました。
彼女の母親から届いた怒りの連絡
2週間ほどたったころ、見覚えのない番号から連絡がありました。息子の彼女のお母さんでした。あいさつを返す間もなく、強い口調でこう言われました。
「あなたのお弁当を食べたせいで、娘が体調を崩したんですけど」
突然のことで頭が真っ白になりました。私のお弁当で食中毒……? 同じものを食べている息子は元気そのものです。急いで息子に確認すると、もう1つのお弁当は彼女に渡していたこと、そして彼女が体調を崩して入院していることを知りました。
ただし息子は「お弁当が原因じゃないと思う」とはっきり言いました。聞けば、彼女は家庭の事情で、食事や睡眠時間が不規則になることがあったようです。ただ、その内容は息子も詳しくは知らず、単に「食生活が乱れがちだった」という程度の話でした。
真相と、彼女からの言葉
後日、息子と一緒にお見舞いに行くと、彼女は申し訳なさそうにこう話してくれました。
「病院で原因を調べてもらったら、体調を崩したのはお弁当じゃないと説明されました。本当に、勘違いさせてしまってすみません」
涙ぐみながら頭を下げる姿に、私は胸が締め付けられました。私はその日のうちに彼女のお母さんへ連絡し、医療機関からの説明内容を伝えて誤解が解けたことを確認しました。その後、向こうから私に連絡が来ることはありませんでした。
彼女は退院後、しばらく祖父母の家で生活することになり、通学の都合で転校することになったそうです。息子は寂しそうでしたが、「彼女が落ち着いた場所で暮らせるなら、そのほうがいいよね」と、どこか安心したように話しました。
それから息子は以前のように早めに帰宅する日が増え、夕食時に学校のことや遠距離になった彼女との近況を楽しそうに話してくれます。今回の出来事を通して、家族の会話も少しずつ戻ってきた気がします。
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息子が「お弁当を2個作ってほしい」と言ったのは、彼女においしいごはんを食べさせたいというやさしさだったのですね。大変な事件に巻き込まれてしまいましたが、助けてくれる人々の存在を感じながら、息子も彼女も強く生きていけるのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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