引き出しに隠された義母の秘密
ある日、義母の家に子どもたちを連れて遊びに行きました。お昼ごはんの準備を手伝っていた際、調味料が見当たらずキッチンのあちこちを探していました。
「ここかしら?」ふと目についた足元の引き出しに手をかけますが、なぜか妙に重くて開きません。「あれ、何か引っかかってる?」少し力を込めてガタッと引き出した瞬間、「あっ、見ないで!」と背後から義母の慌てた声が聞こえました。
しかし時すでに遅く、そこには隙間もないほど詰め込まれた大量の請求書と、未開封のサプリメントがぎっしり入っていたのです。
普段はキッチンの隅々まで整理整頓し、無駄遣いを嫌う義母。そんな彼女からは想像もつかない光景に、私は思わず言葉を失いました。
一体何があったのだろうと、頭の中が疑問でいっぱいになります。さらに奥からは通販の請求書も出てきて、どうやらかなり高額な健康食品を定期購入している様子。義母は「ちょっと試してるだけよ」と笑っていましたが、いつもは堂々としている義母が、なんだかバツが悪そうな表情を浮かべています。その姿を見て、ただの無駄遣いではなく、何か深い事情があるのではないかと胸がざわつきました。
その後、義母と二人きりでお茶をしていたとき、「最近、体の調子が気になってね」とぽつりと話してくれました。年齢とともに体力の衰えを感じ、不安からすがるようにサプリを買い始めたのだそうです。いつも元気でしっかり者に見える義母も、年を取るのはやっぱり怖いんだな……と感じた私。弱音を吐かずに一人で抱え込んでいた姿を想像すると、なんだか急に切なくなってしまいました。
それ以来、健康の話題を自然に出すようにしています。「私も最近、すぐ疲れちゃって」と弱音を吐いたり、一緒になって愚痴ったり。そうやって話しているだけで、義母の表情がふっと緩むのがわかりました。完璧に見える人ほど、誰にも言えない弱さを抱えているのかもしれないと感じた出来事でした。今回のことをきっかけに、義母を「夫の母」としてだけでなく、「一人の人間」として見られるようになった気がします。正直、以前は少し苦手意識もあったけれど、今は義母の弱音も聞ける関係になれて、少しだけ距離が縮まったように思えています。
著者:徳田 由美/40代女性/小4の長女と年長の長男を育てる40歳の母。地元のスーパーでパート勤務中。週末は家族で公園や図書館に出かけるのが楽しみ。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)
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