心ない言葉に凍りついた私
私は毎朝、4歳の息子を幼稚園に送り出したあと、2歳になったばかりの娘と一緒に近所の公園で遊ぶのが日課になっています。しかし、娘は、ただいま絶賛イヤイヤ期真っ最中。その日もいつものようにブランコや砂場で遊んで、「そろそろ帰ろう」と声をかけた瞬間にスイッチが入ってしまいました。「嫌だーーー!!」と叫びながら、その場にひっくり返って大号泣。
私はもう慣れっこなので、「ああ、またか……」と少し距離をとって様子を見ていました。無理やり抱えて帰ってもお互いぐったりするだけだし、ひとしきり気持ちを出させたほうが落ち着くことも多いのです。
ところが、公園のベンチに座ってこちらの様子を見ていた中年の男性が、眉をひそめながら「母親がちゃんとあやさないから、いつまでも泣くんだよ。泣かせっぱなしにするって育児放棄だろ!」と、私に向かってひと言。驚きのあまり、一瞬、言葉を失いました。あやさないわけじゃなくて、あえて見守ってるのに……と思ったものの、説明してもかえっていろいろと言われそうで、恐怖感もあったので聞き流すことに。
そのとき、近くで3歳くらいの子どもを遊ばせていた30代くらいのパパさんが、スッとこちらに歩み寄ってきて、「イヤイヤ期って、泣かせる勇気も必要なんですよね。自分で気持ちを整理する練習になるので、見守るのも大事な関わり方だと僕も思います」と、男性に向かってにこやかに言ったのです。突然の援護に私はビックリ。男性は「は?」と怪訝そうな顔をしていましたが、さらにその後ろから、今度はベビーカーを押していた別のママさんが「うちも同じです。泣かせながら気持ちを落ち着かせてますよ~」と男性に言ってくれました。
次々に飛んでくる言葉に、男性は何も言い返せなくなった様子。「今どきの若いもんは甘いな」などとぶつぶつ言いながら、その場を離れていきました。
2人に「ありがとうございます……!」とお礼を言うと、パパさんは「きっとあの人は、子育てにあまり関わったことがないのかもしれませんね。好きで泣かせてるわけないのにね?」とおちゃらけて話しながら「ほら見て、犬さんだよ~」と娘のそばの地面に犬の絵を描いてくれました。けろっと泣き止んだ娘を見て、「うん、もう大丈夫だね」と近くにいた自分の子どものもとへ。ベビーカーのママさんも、「イヤイヤスイッチも、泣き止むスイッチも、いろんなところにありますよね。ママさんのせいじゃないから気にしたらダメですよ」と微笑みながら言って去って行ったのでした。
育児はいつも手探りの連続だと、私は思います。だからこそ、ちょっとしたひと言が心にグサッときたり、迷ったりする日もあります。しかし、今回のように共感してくれたり、やり方を否定せずそっと支えてくれたりする人がいれば、つらい場面も乗り越えられるな、と感じました。声をかけてくれたパパさんやママさんのように、私も困っている人に寄り添える人でありたいと思った出来事でした。
著者:川中あいこ/40代・ライター。マイペースな4歳の息子と、おてんばな2歳の娘を育てるママ。夫は帰宅時間が遅く平日ほぼワンオペ。転勤族で、日本中のおいしい物が食べたいと思っている。老後はどこに住むか想像するのが好き。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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