偏った期待を向けられて
昔から母は、私に対して「長男なのにしっかりしない」といった言い方をよくしていました。一方で弟のA男は、成績優秀だったこともあり、母にとっては自慢の存在だったようです。
大人になってもその構図は続き、A男が大手企業に就職した際は、母は誇らしげに話す一方、私の仕事や収入については否定的な言葉が多く、仕送り額まで比較されました。
「あなたの弟は毎月30万円も送ってくれているのよ」
私が少額ながらもできる範囲で続けていた仕送りについて、母はそう言って不満を示しました。「絵の仕事なんて続くの? それで生活できるの?」といった言葉が続くことが増え、ある日とうとう電話の最後に「もう親子の縁を考えないといけないかも」などと言われ、私は深く傷つきました。
母からの突然の連絡
その後、しばらく距離を置いていたのですが、月末に母から何度も電話がありました。仕事を終えて折り返すと、母は涙声でこう言いました。
「A男と連絡が取れないの。会社に確認したら、退職していたって……。今月の生活費も入っていなかったのに」
母は動揺していましたが、話の中心には“生活費”の心配も混じっており、私は複雑な気持ちになりました。「あなたも早く仕送りしてよ。まだでしょ?」という強い口調で求められたため、私は落ち着いて答えました。
「母さんへの仕送りは、もう終わりにしたよ。以前、学費としてと言っていた分もすでに返し終えたつもりだから」。すると母は驚いた様子で、「そんなはずない」と声を荒らげました。
明かされた事実
そのとき、偶然そばにいた弟のA男が、私のスマートフォン越しに母へこう伝えました。
「兄さんの言う通りだよ。母さんへの仕送り30万円って、ここ数年は兄さんが工面してくれていたんだ。僕は精神的にきつくて、仕事も続けられなくなった。退職したのも、その1つの理由なんだ」
電話の向こうの母は、衝撃を受けている様子でした。実は私は、国内外からイラストの依頼をいただけるようになり、収入も安定してきた時期でした。弟の負担を減らしたくて、母には知らせず、A男の分も補填していたのです。
A男は続けました。「兄さんが母さんから冷たい扱いを受けているのを見るのがつらかった。でも僕も、期待される息子として母さんの言うことを優先し続けてきて、心が限界だった。だから仕事を辞めて、兄さんのマネージャーとして働いているんだ」
私たちは、母との関係を少し距離を置いて再考することにしました。母とは必要最低限のやりとりを残しつつ、精神的に自立した形で生活を整えていく道を選びました。
現在、母はパートを掛け持ちしながら生活しているようです。心境の変化があれば、いずれ歩み寄れる可能性はあるかもしれませんが、今は互いのために距離を保っています。
私とA男は、自分たちの生活を立て直しながら、少しずつ前に進んでいます。長年の家族関係のしがらみから解放された実感があり、兄弟として協力し合える今の関係を大切にしていきたいと思っています。
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母の強い期待や扱いに振り回されながらも、兄弟が自分たちの意思で距離を取り、自立した形で関係を見直せた点が印象的でした。2人がお互いを支え合いながら前に進む姿は、とても力強いものです。これからは、外からの評価ではなく、自分たちの望む人生を歩んでいってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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