会計待ちの間に声をかけられて…
おいしい食事を堪能し、会計に向かうとレジは混雑中。順番を待っている間に、ある2人組のお客さんと世間話になりました。80歳くらいの高齢男性と、タクシー運転手のような制服を着た男性で、とても穏やかな雰囲気の方たちでした。
すると、その高齢男性が次男の顔を見るなり、とても驚いた様子を見せました。何かあったのかと身構えていると、男性は次男に向かって手を合わせ、「こんなに仏様に似ている子には初めて会った」と言うのです。
まさかの「生き仏」扱い!?
そんなことを言われたのは初めてだったので、私はただただびっくり。
確かに次男の耳たぶは分厚い福耳なのですが、米粒を乗せても落ちないくらいに上向きになっています。男性が言うには、その上向きの耳は「大黒様の福耳」といって、大変縁起がいいのだそうです。
「商売をずっとしてきたので、大黒様を大切にしてきた。こんなにかわいい大黒様に会えたのは、きっと良い運の巡り合わせだ」
そう言うと、男性は笑顔のままお金を渡そうとしてきました。しかも、なんと1万円札! 見知らぬ方から突然いただくにはあまりに高額すぎて、私は慌ててお断りしました。
ところが、「ぜひもらってくれ」「いえ、申し訳なくて受け取れません」の押し問答に……。
結局、店内でこれ以上やり取りするのはご迷惑になってしまうと思い、「レジ横にある募金箱に入れましょう」と提案しました。すると、男性も寄付することには納得してくれました。
あまりに唐突すぎて、まるで狐につままれたような出来事でした。「世の中にはいろいろな価値観の人がいるんだね」「もしお金を受け取っていたら、デザートも頼んで、さらにぜいたくできたかもね」なんて、今でも家族の笑い話になっています。
著者:秋本かなこ/30代女性。2017年生まれと2021年生まれの兄弟のママ。元気な兄弟とパワフルな毎日を過ごしている。
イラスト:ふー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年11月)