ラーメン店の厳しい現状
店を開いた当初、私は「味がよければ必ずお客さまが来てくれる」と信じていました。しかし現実は甘くありませんでした。立地の影響もあって売り上げは伸びず、家賃の支払いも厳しくなり、仕込んだ食材を廃棄するのがもったいなくて、自分の食事もほとんどラーメンになっていました。
「おいしいはずなのになぁ……」
努力しても報われない日々に、気持ちは少しずつ沈んでいきました。
ある“評論家”を名乗る男性の来店
そんなある日、40代くらいの男性が来店し、店内を見回しながらメモ帳に何かを書き始めました。普通のお客さんとは少し雰囲気が違い、名刺を取り出して「ラーメンのレビューブログを書いている」と自己紹介してきました。A山さんと名乗るその男性は、定番の醤油ラーメンを注文。
緊張しながら提供すると、彼はすぐには手をつけず、じっとラーメンを見つめたまま、「チャーシューは?」とひと言。「レビューのために来ているのだから、特別にしてくれてもいいだろう」といったニュアンスでした。
納得しきれない気持ちもありましたが、せっかく来てくれたのだからと考え、チャーシューを追加して提供しました。
予想外の言葉と見返りの要求
ラーメンを食べ終えると、A山さんは「自分には合わなかった」とだけ言い、さらに「良い評価を書いてほしければ、それ相応の対応が必要だ」と、曖昧ながら見返りのようなことを口にしました。
私は迷いました。もし高く評価してもらえれば、廃業を避けられるかもしれない……。しかし、見返りを前提にした評価を求めることには抵抗があり、「正直に感じたことを書いてください」と伝えました。
すると彼は不満げな様子で店を出ていきました。
女性客が教えてくれたある事実
A山さんの来店から1週間。依然として店は静かなまま。廃業を考え始めたころ、小柄な女性のお客さまが来店し、醤油ラーメンを注文しました。
ラーメンを出すと、その女性はひと言。「思っていたのと違いました……良い意味で」。驚く私に、女性は続けて教えてくれました。
「とあるブログで、この店の衛生状態や味について厳しい内容が書かれていました。でも実際に来てみたら、まったくそんなことはありませんでした」
どうやら、A山さんのブログには事実とは異なる記述があったようでした。女性はラーメンを食べ終えると、「私はグルメ関連の運営会社で働いています。正直、根拠のない評価でお店が傷つくのは放っておけません。応援させてください」と言ってくれました。
逆転のきっかけ
その女性B子さんは、飲食店向けのアドバイスを専門にしている方でした。看板の見やすさ、宣伝方法、ネットでの情報発信など、多くの改善点を丁寧に教えてくれました。
私は苦手だったネット運用にも挑戦し、ホームページやSNSを整備。B子さんのサイトにも、実際に来店して評価してくれた内容が掲載され、少しずつお客さまが増えていきました。
気付けば、店の前には行列ができる日もあるほどに。そんなある日、A山さんが再び店の前に姿を現しました。行列を見て驚いた様子の彼に、偶然居合わせたB子さんが声をかけました。
「根拠のない評価でお店を混乱させるようなことは、どんな立場の人でも許されないと思います」
彼は何も言えず、そのまま立ち去っていきました。
私は、あの日ブレずに「正直な評価で」と伝えたことを、今でも正しかったと思っています。B子さんは今でも時々来店してくれ、「今日もまた、おいしいラーメンを食べに来ました!」と笑ってくれます。
これからも、来てくださるお客さま一人ひとりに、心を込めた一杯を届けていくつもりです。
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不正に手を染めることなく、どんな相手にも誠実においしい料理を提供し続けた結果、まさに真実と正義の勝利といえる展開になりましたね。さらに、マーケティング面での地道な努力も実を結び、大きな飛躍につながったようでよかったです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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