倦怠期の中での結婚記念日
10年一緒に暮らしてきて、大きなけんかはほとんどなく、夫婦仲は良好な私たち。ただ、最近お互いに仕事が忙しく、必要最低限の会話しかしていませんでした。「前は子どもたちが寝てから、お酒を飲みつつ、たわいもない話をしてたけど、最近は全然してないな。これがいわゆる倦怠期っていうのかな……」と少し不安に思う日々。
そんな中、先日10年目の結婚記念日を迎えました。結婚して最初のころは結婚記念日を祝っていたものの、子どもが生まれてからは祝っていません。「最近、ちょっと倦怠期のような感じだから、せっかくの10周年の記念日だし、少しでもお祝いの雰囲気出してみようかな!」と思い立った私は、夫が新婚当初にお気に入りだと言っていたメニューを久々に夕食に作ることにしました。
私が料理の準備をしていると、「いつもと違う材料あるけど、なに作るの?」と7歳の長男が話しかけてきます。「今日は、パパとママの10回目の結婚記念日だから、感謝の気持ちを込めて、パパの大好きなメニューを作るんだよ」と答えて、具材を切り始める私。すると、長男が「僕もパパの大好きなメニュー作りたい! お手伝いしたい!!」とやる気満々で手伝ってくれました。
無事に料理ができあがり、「僕ちょっと残りの宿題してくる」と長男が言うので、私がひとりで料理を食卓に並べていると、夫が帰宅。今日も仕事が忙しかったのか、不機嫌そうでした。今日が結婚記念日であることに気づいている様子はなく、久々に作った夫の好物を見れば気づくかなと淡い期待を寄せる私。しかし、好物のメニューを食べた夫は「なんか前より味薄くない? 久々に作ったから調味料の分量とか間違ってるんじゃない?」と、予想外の発言をしたのです。
そんなことを言われると思っていなかった私が、なんと返答しようか悩んでいると、自室から戻ってきた長男が「今日は結婚記念日だから、ママがパパの大好きなメニュー作ったんだよ! 僕も一緒にお料理したんだ!」と、次男を連れて笑顔で夫に話しかけます。しかし夫の表情を見てすぐさま、「けど……じょうずにできてなかったかな……」と悲しげな表情を浮かべます。夫はハッとした顔で、ようやく今日が結婚記念日だと気づき「せっかく心を込めて作ってくれたのにごめん。2人がパパのことを思って料理を作ってくれてうれしいよ! ありがとう!!」と夫はやさしい声で言いながら、長男の頭をなでました。
すると、長男と次男は何やらポケットからごそごそ。なんと、折り紙で折った花を出し、私と夫に渡しながら「おめでとう」と言ってくれたのです。思いがけないサプライズに夫婦で号泣。その後、夫から「最近、ずっと不機嫌で本当にごめん。こんな俺を10年間も支えてくれてありがとうね」と言われ、祝ってよかったと思える結婚記念日となったのでした。
結婚当初は、記念日にひとりで料理を準備していましたが、今回長男が一緒にお料理をしてくれるほど大きく成長したことを実感。10年という長くもあっという間だった日々がいとおしく思えました。長く一緒に暮らすとどうしても相手への甘えなどがあり、会話だけでなく、感謝の表明さえも怠ってしまうこともあるかもしれません。今回の夫の無神経なひと言も、そうした関係性の停滞が引き起こした結果だと思います。しかし、今回子どもたちの純粋な「お祝いの気持ち」が、私たち夫婦に足りていなかった「感謝」と「愛情」を表現する大切さを思い出させてくれました。親しい間柄の夫婦でも、ちゃんと思いを伝え合い、行動で示していくことが大事だなと感じた出来事でした。
著者:鈴木遼子/30代・自営業。7歳と6歳の年子の男の子を育てる母。毎日パワフルに活動する子どもたちに振り回される日々だが、大好きなコンビニスイーツを食べて体力を回復している。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)