娘を実家に行かせたくない夫
私がマサトの機嫌を損ねないようにして、実家との仲がこじれないようにしないと。
家事をしながら、そんなことを考えていたある日、お母さんから電話がかかってきて……。
















「来週の日曜日、お兄ちゃん家族が来るからみんなで食事しないかって、お母さんが……」マミさんが恐る恐る尋ねると、マサトさんはスマホから顔も上げずに言い放ちました。
「行かない。お前の親も兄も、俺にとっては他人なんだよ。巻き込むな」
その言葉に、マミさんは明るく振る舞いながら、「そっか! じゃあ、私とアミの2人で顔だけ出してくるね!」と返します。
しかしその瞬間、マサトさんはスマホから顔を上げ、鋭い目つきでマミさんを睨みつけました。
「は? なんで実家に顔出す必要あんの?」
両親が孫に会いたがっていると説明しようとするマミさんを遮り、マサトさんは冷酷に告げます。
「アミは連れて行くな。甘やかされてダメな子になるだろ。アミにもお前にも、俺の教育方針があるんだよ」
さらに、「母親としても妻としても中途半端なくせに、それを晒しに行くのか?」マミさんの心に深い傷を残す言葉を投げつけたマサトさん。モラハラ全開の発言に、血の気が引いていくマミさんなのでした。
◇ ◇ ◇
「アミにもお前にも、俺の教育方針がある」そう言い放ち、実家に帰ることさえ禁じるマサトさん。さらに「母親としても妻としても中途半端」とマミさんの人格まで否定し、自信を奪うことで従わせようとする言動には、恐怖を感じます。これは教育などではなく、妻を実家から切り離して孤立させようとする、「支配」ではないでしょうか。
「子どものため」「教育方針」などの言葉を使われると、自信がないときはつい従ってしまうかもしれません。しかし、パートナーがもっともらしい理由をつけて、自分や子どもの自由を理不尽に制限しようとしたときは、その言葉の裏にある支配欲にいち早く気づくことが大切です。「あなたのため」という言葉に、「思い通りになれ」という意味を含んでいないか、一度立ち止まって冷静に見極める視点を持ち続けたいですね。
つらいときは、ひとりで抱え込もうとするのではなく、周囲に助けを求めましょう。頼れる人が思い当たらない場合は、専門機関に相談することもできます。相談窓口をいくつかご紹介しますね。
※よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)
※こころの健康相談統一ダイヤル
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。
0570-064-556 ※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
※DV相談ナビ
全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、お近くの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつながります。
#8008(はれれば)※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
ゆる山まげよさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
ゆる山まげよ