在宅の仕事で自信を取り戻しかけた私
私はお母さんに電話をかけて、「用事ができた」と嘘をつき、食事会を断りました。
本当は、アミに会わせてあげたかったし、私も両親に会いたかったけど、アミにマサトの怒りが向けられないよう、そうするしか……。
















実家と疎遠になってから1年。
マミさんは在宅でライターの仕事を始め、収入が増えるにつれて「私でも社会の役に立てるんだ」と、少しずつ自信を取り戻しつつありました。
そんなある日、仕事から帰宅したマサトさんが、玄関でマミさんが脱いだサンダルを指さし、大声で娘のアミちゃんに話しかけ始めたのです。
「アミ、見てごらん。ママは靴も並べられない。だらしないね、ダメだねぇ?」
マミさんが急いでいたため、少しだけ曲がって置かれていたサンダル。マサトさんは、そこにマミさんがいることに気づいていながら、あえて娘に向かって言い聞かせます。
「いいか、アミ。ママは『ちゃんとしてない』人だけど、アミはママみたいになっちゃダメだぞ? パパの言うことを聞いて『ちゃんとした子』になるんだよ」
その言葉を聞いた瞬間、顔から血の気が引くマミさん。「ちゃんとした奥さんにしてあげる」かつて救いの言葉のように思えたそのセリフが、今では呪いのようにマミさんを縛り付けます。
マサトさんがマミさんにする「教育」が、ついにアミちゃんにも始まった瞬間でした。
仕事でほんの少し取り戻しかけていたマミさんの自信は、夫の心ないひと言によって、いとも簡単に折られてしまうのでした。
◇ ◇ ◇
ほんの少しサンダルが曲がっていたという些細な落ち度を鬼の首を取ったように指摘し、あろうことか幼い娘を使って、間接的にマミさんを見下すマサトさん。「ママみたいになるな」という言葉は、マミさんの自尊心を傷つけるだけでなく、娘さんに「ママを馬鹿にしてもいい」と教えているようなものではないでしょうか。
夫の顔色をうかがい、少しずつ積み上げた自信も一瞬で踏みにじられてしまうような生活。マミさんは息苦しいことでしょう。もしパートナーが、子どもの前で自分を否定したり、子どもを味方につけて自分を孤立させようとしたりしたときは、それを「自分の至らなさのせい」と受け入れてはいけません。それはモラハラ行為であると認識し、自分の心を守るために「その言い方はやめてほしい」と毅然と伝えるか、それが叶わない相手なら物理的な距離を取ることも視野に入れたいですね。
つらいときは、すべてをひとりで抱え込もうとするのではなく、遠慮せずに周囲に助けを求めましょう。友人や家族以外にも、専門機関を頼ることもできます。相談窓口をいくつかご紹介しますね。
※よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)
※こころの健康相談統一ダイヤル
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。
0570-064-556 ※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
※DV相談ナビ
全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、お近くの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつながります。
#8008(はれれば)※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
ゆる山まげよさんのマンガは、このほかにもブログで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
ゆる山まげよ