経営者である母の会社へ、一般社員として入社
幼いころから、仕事と家庭を両立してきた母を尊敬していた私。いつか母の会社に入ることを目標にしてきました。ただ、入社にあたっては母とも相談し、社内では親子関係を公表しないことに。特別扱いを避け、他の社員と同じ立場で働きたいというのが私自身の希望でした。
総務部での研修が始まると、そこにはA子さんというベテラン社員がいました。新入社員に厳しいことで知られた存在らしく、私に対しても入社初日から戸惑うような言葉をかけられました。
「長く海外にいたあなたが、日本の会社に順応できるの?」
「アメリカの大学を出たからって、調子に乗らないでね」
注意や指導というよりも、感情的に聞こえることが多く、どう接して良いかわからないまま日々が過ぎていきました。
その後も、突然大量の業務を任されたり、担当外の仕事のフォローを急に頼まれたりと、戸惑うこともありました。ただ、他の先輩社員からは温かい言葉をかけてもらえることもあり、そのおかげで何とか前向きに頑張れていました。
日曜日に突然届いた「解雇メール」
入社して3カ月ほどたったころ、思いも寄らない出来事が起きました。
ある日曜日、母と自宅で夕食の準備を始めようとしていたとき、私のスマホに会社アドレス宛てのメールが届きました。差出人の表示は母の名前。しかし、母は目の前にいます。
「あなた、明日から会社に来なくていいから」
あまりにも不自然で、母に確認するともちろん身に覚えがありません。メールの送信元アドレスをよく見ると、フリーメールを使ったものでした。差出人の名前だけ母に設定しただけの、不自然なものだったのです。
会社用のメールアドレスを知る人物は限られています。状況から考えて、社内の誰かが送った可能性が高いと考えました。
2ショット写真を返信し、差出人を確認
私は母に提案し、2人で撮った写真を添付して返信することにしました。
本文には、「社長と一緒にいますが、どなたでしょうか?」とだけ記して送信しました。すると、1分もたたないうちに着信が。画面を見ると、A子さんからでした。
電話に出ると、A子さんは明らかに混乱していました。
「えっ……どういうこと? 社長と……どうして一緒に?」
「自宅で夕食を作っているところです。母ですので」
状況が飲み込めていない様子のA子さんに、母が落ち着いた声で話しました。
「総務部のA子さんね。社員に対して『来なくていい』といった内容のメールを送る意図は何ですか? 私の名前を使ったということは特に看過できませんよ」
A子さんは言い訳を口にしていましたが、明確な理由は示されませんでした。
会社としての対応、そしてその後
翌日、A子さんは社長室に呼ばれ、今回の件について事情を確認されることになりました。社長名を使ったメール送信は、社内の業務に混乱を招くおそれがあり、企業としても看過できない行為です。そのため会社として正式にヒアリングがおこなわれ、勤務態度やこれまでの指導方法についても併せて確認されました。
調査の結果、今回のメールは本人の単独の判断によるもので、社内の正式な手続きとは無関係であったことが明らかになりました。会社は規程に基づき、厳重注意と再発防止の指導をおこないましたが、A子さんは今回の件で自分の立場が以前のようには保てないと感じたのか、「責任を取りたい」と自ら退職の意向を申し出ました。
周囲に迷惑をかけたくないという本人の思いもあり、そのまま有給休暇の消化に入り、静かに職場を離れていきました。長く総務部を支えてきた経験はあるものの、今回の件が精神的に負担となったのかもしれません。
A子さんが退職してから、部署内の空気は落ち着きを取り戻し、声を掛け合いながら仕事に取り組む雰囲気が戻ってきました。私自身も無事研修を終え、希望していた外商部への配属が決まり、新しいスタートを切ることができました。
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A子さんは、若手社員への厳しい接し方や、社長の名を使った不適切なメール送信など、誤解を招く行動が重なり、最終的に退職という形になりました。職場の人間関係は難しいものですが、今は気持ちを切り替え、前向きに仕事へ向き合えるようになってよかったですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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