社長の息子とお見合い
私は20代半ばの独身会社員。実家で両親と一緒に暮らしています。そんなある日、仕事が終わって家に帰ると、突然、両親がある話を持ちかけてきました。それはなんとお見合い。ただ、私にはまだ結婚願望がなく……。
けれども両親によると、お見合い相手の父親はとある会社の社長。父の大学時代の先輩でとてもお世話になった人とのこと。とりあえず、一度会話をするだけでもOKとのことだったので、私はお見合いを受け入れることにしました。
失礼発言を連発するお見合い相手
そして迎えたお見合い当日。待ち合わせ場所である高級寿司店に5分前に着いた私は、先に中に入ることに。席に座って待つこと10分。ようやくお見合い相手であるA男さんが現れました。
しかし、入店早々、A男さんは寿司屋の大将に向かって「あー、予約したA男だけど」と横柄な態度。この時点で私は、「気難しい人なのかなぁ」と不安になってしまいました。
そして、その不安は見事に的中。私の姿を見た瞬間、A男さんは大きなため息をつき「オヤジが見合いしろってうるさいからどんな美人が来るのかと思ったら、こんなチンチクリンをよこしやがって!」と言ってきたのです。
私は心の中でムッとしましたが、お見合いの場で失礼な態度はできません。さらに、私が最初に玉子焼きを注文すると、「貧乏くさいな! 寿司屋には高いネタがいくらでもあるってのに、まず最初に頼むのは玉子なのかよ」と笑ってきました。
セレブアピールは続き…
その後も、A男さんは寿司屋の知識をひけらかし、「自分は寿司屋に行き慣れたセレブ」だとアピール。また、「俺はオヤジの会社を継ぐ予定。お前の顔とスタイルじゃ社長の妻は無理だろ」などと言い出す始末。私はただただ机の下で拳を握りしめつつ、食事が終わるのを待ちました。
そして、ようやくお見合いが終わりそうな雰囲気になり、私たちは最後の注文をすることに。彼は最後に大トロを注文しましたが、私が頼んだのはかんぴょう巻き。それに対しても「庶民の選ぶネタはショボいな」と発言。
すると次の瞬間、「お客さん、本気で言ってるんですか?」という声が。ずっと黙々とお寿司を握っていた大将が口を開いたのです!
大将「物知らずのエセセレブ」
大将もA男の言動に我慢ができなくなったよう。
「寿司屋のイロハも知らないのはアンタだよ」
そして大将は、寿司通の中には板前の技量や仕事ぶりを見極めるために、最初に玉子焼き、最後にかんぴょう巻きを食べる人がいることや、最初は味の薄い白身から食べて、だんだんと味の濃いネタを食べるとお寿司を最大限楽しめると言われていることなどを彼に伝え……。最後には、「俺にいわせりゃ、アンタは物知らずのエセセレブにしか見えないね」と言い切ったのでした。
ただ、A男さんも黙ってはおらず「こんな店、俺の力で潰してやるよ!!」と逆ギレ。それを見た私は、彼に隠していた重大なことを伝えました。実はこのお見合いは、A男さんの性根を見極めるという裏事情もあったのです。
調子に乗り続けた男の末路
A男さんの父は、A男さんは親の前ではいい顔をしているものの、それ以外のところでは豹変するという噂を聞いていたそう。そのため、お見合いの話を持ちかけると同時に、会社の後継ぎとして相応しい人間性を備えているのか見極めてほしいと相談してきたのです。店の奥のテーブルには私の両親も座っており、彼の言動をチェックしていたのでした。
両親は私とA男さんの会話をしっかり録音し、その後、父親にそのデータを提出。お見合いとしてはうまくいきませんでしたが、社長は息子さんの本性を調査した私と両親に感謝していたといい、役に立てたようでよかったです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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