高卒を否定してくる上司
僕は外資系大企業の子会社で営業をしていました。仕事自体は好きで、成績も安定していました。ただひとつ問題だったのが、上司の課長のことです。
課長は僕より後にヘッドハンティングで入社してきた高学歴のエリート。過去に営業もやっており、結果を残していたため仕事はできるのですが、
学歴を盾に部下を見下すタイプでした。口を開けば「高卒は使えない」と嫌味ばかりを言ってきて……。「高卒にはこれくらいの仕事がいい」と、営業とは関係のない雑務を押し付けられることも日常茶飯事でした。
反論したくなることもありましたが、上司に言い返して言い争いになることを避けたかった僕は、理不尽だと思いながらも、仕事として割り切っていました。
新人の教育係に指名される
そんなある日、営業チームに新人の女性・Aさんが配属となりました。
Aさんは高卒ですが営業経験があり、中途入社でわが社に入ってきました。
挨拶を終えた直後、課長はみんなの前で僕に言いました。
「高卒の新人は、同じ高卒のお前が面倒見ろ」
冗談交じりでしたが、完全に見下した言い方で……。思わぬかたちで教育係を任されることになった僕は、正直戸惑いました。「高卒同士お似合いだ」と言う課長の言葉を受け、Aさんのほうを見ると、Aさんは黙っていました。
Aさんは寡黙で、最初は目立たない印象でした。そのため、課長の言葉に傷ついてしまったのではと心配していたのですが、思ったよりも負けず嫌いなよう。Aさんは「早く戦力になって、課長を見返したい!」と言っていました。Aさんは、仕事への姿勢は真面目で、メモを欠かさず、質問も的確。そのおかげか
数週間もすると、彼女はわが社での営業の流れをしっかり把握していました。
Aさんは成績トップに!
覚えの早いAさんは、みるみるうちに営業チームで成績を残していきました。結果、数カ月後には、僕とAさんのチームが営業成績でトップに。
営業チームの人たちからは、「すごいじゃん」と褒められ、
Aさんはうれしそうな様子でした。
ところが課長は、Aさんの成績を認めたくないようで……。「何か不正があるはずだ」「高卒組にそんなことができるわけない!」と言い残し、席を立ちどこかへ。
月次の評価を出した後、通常であれば上層部に営業成績のデータを持って報告しに行きます。課長の動きに不安を覚えた僕と同僚は、上層部のところに向かいました。
救ってくれたのは…?
上層部のところに向かうと、課長は営業成績について報告をしている最中でした。
課長は、「営業成績はこうなっているのですが…不正があったかもしれません。私のほうで改めて調べます」と言っていて……。僕とAさんが、口を開こうとしたとき僕の同期2名が声をあげてくれました。
「その2人は、営業チームをよく引っ張ってくれていますよ。不正なんてしていません。それより、課長について、少し言いたいことが」
そして、録音のデータを流し始めたのです。その録音データには、課長が僕やAさんに対して「高卒」とキツく当たっている音声がしっかりと記録されていました。
音声を聞いた課長は真っ青に。以前から課長の言動を問題視していた同僚たちは、
課長にバレないよう日常的なパワハラ発言の証拠を少しずつ集めてくれていたようでした。
その結果、課長は内部調査の対象となったのですが…… 自ら「これ以上は続けられない」と判断したのか、数週間後に自主退社をしました。
一方で、今回の件を通して営業チームの雰囲気は良くなりました。僕とAさんだけだったら、課長に押しつぶされていたかもしれません。窮地を救ってくれた同期には感謝をしつつ、チーム全体を助けられるように仕事をしたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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