【揚げ油】再利用は何回までやっても平気?酸化や回数の目安

結論からいうと、家庭向け情報では揚げ油の再利用はおよそ2〜3回が目安といわれることが多いです。
この回数は調理条件に強く依存するため、一律に断定できないもののおおよその目安としては妥当といえるでしょう。
ただし、これはあくまで条件が良い場合の数字。
実際には一律の回数基準はなく、揚げる食材の種類や温度管理、揚げた後の保存方法によって油の寿命は大きく変わります。
また、上記の通り一般には“2〜3回”と紹介されることもありますが、科学的には色・におい・粘り・煙などの状態や、酸価・カルボニル価・発煙点といった劣化指標で判断するのが本筋です。
"油の劣化"が一つの判断ポイント
例えば鶏肉や野菜など水分の多い食材は油を傷めやすく、また高温をキープし続けたり、揚げカスを取り除かずに放置したりすると、油は一気に劣化します。
使い終わりに濾過し、遮光・密閉(できれば涼しい場所)で保存すると、次回までの劣化を抑えられます。
つまり重要なのは使用した回数だけではなく、油をなるべく劣化させない状態で使い、保存することなんです。
酸化のサインと、使うのをやめるタイミング

では、油がもう限界!となるのはどんな時でしょうか。
わかりやすいサインは次の通りです。
・色が濃い茶色に変わってきた
・とろみや粘り気が出て、糸を引くことがある
・加熱するとすぐに煙が出る
・油臭さ・焦げたようなにおいが気になる
・揚げ物がべたっと油っぽく仕上がる
複数のサインが出たら交換の目安です。
特に発煙が早い、強い油臭、顕著な粘りは要注意でしょう。
ちなみに、事業者向けの指針では酸価2.5超・カルボニル価50超・発煙点170℃以下が交換目安とされています。
ただし、揚げ物のおいしさや安全を優先するなら、ひとつでも当てはまったらそれはもう使うのはやめどきともいえます。
たとえ1回しか使っていなくても、酸化が進んでいたら廃棄するのが正解です。
処分は、お住まいの自治体ルールを確認してください。
流しには絶対に捨てず、自治体の回収があれば冷まして容器に入れて持ち込みましょう。
回収がない場合は新聞紙に吸収するか凝固剤で固化し、可燃ごみへ。
再加熱時の放置は火災の危険があります。
鶏肉を揚げた後に再利用した揚げ油はおいしくなる?

実は、旨みが増すのは本当です。
鶏肉から溶け出した脂やエキスが油に移り、まろやかな風味になるため、次に揚げるコロッケやポテトなどは、コクのある仕上がりになります。
ただし、このおいしさには裏側があるんです。
一般的に、動物性の脂は植物油より酸化しやすく、揚げカスも出やすいため、油の劣化スピードが一気に加速します。
そのため、鶏肉を揚げた後の油を使うなら、次の1回が最後と考えておくのが賢い使い方です。
つまり、鶏の脂や風味が移り“コク”を感じることはたしかにありますが、そのぶん油の劣化(極性化合物の増加等)が進みやすい点に注意するようにしましょう。
動物脂全般が植物油より酸化しやすいわけではありませんが、鶏の脂は不飽和脂肪酸が比較的多く、揚げカス等の混入と相まって油の劣化を進めやすい点には注意が必要です。
また、天ぷらや白身魚など、繊細な風味を生かしたい料理には向きません。
揚げ油の再利用は"何回目か"より、状態で判断を!

揚げ油は「何回使ったか」よりも、色、粘り、におい、煙といった劣化のサインが出ていないかを観察することがとても大切です。
鶏肉を揚げた後の油は確かにおいしくなりますが、その分劣化も速くなるため、続けて使うのは1回までに、と覚えておきましょう。
ぜひ今後の揚げ物の際は、参考にしてみてくださいね。