1枚のレシートが疑惑の発端に
夫が名古屋出張から帰宅した翌日のこと。たまったゴミをまとめようとした際、ゴミ箱の一番上に捨てられていた1枚のレシートが、ふと目に留まったのです。
そこには、名古屋土産だと言って渡された品物の名前が並んでいました。しかし、印字されていた購入店舗は都内のデパート……。
帰宅した夫にその矛盾を突きつけると、彼は目に見えて動揺し、「お土産を買い忘れたから、東京に戻ってから慌てて買ったんだ」と苦しい言い訳を並べ立てました。夫の様子に不信感を抱いた私は、その場で夫の会社に電話を入れ、出張の事実を確認することに。
電話に出た女性社員は、少し笑いを含んだような軽い調子で「ええ、名古屋出張でしたよ」と答えました。会社側がそう断言するのであれば、それ以上の追及は難しく、夫が何かを隠しているのではないかという漠然とした疑念は、宙に浮いたままになってしまいました。
どこか腑に落ちない感覚はありましたが、当時の私はただ、その場をやり過ごすしかありませんでした。
浮気相手が家に突撃!?
事態が大きく動いたのは、それから数日後の週末でした。キッチンで昼食の支度をしていると、玄関先から女性の激しい怒鳴り声が聞こえてきたのです。
驚いて駆けつけると、そこには見知らぬ女性が立っており、夫に詰め寄っていました。
「早く奥さんと別れてよ!」と叫ぶ彼女の声を聞いた瞬間、私の全身に鳥肌が立ちました。あの不自然な電話対応をした女性の声と、あまりに似ていたからです。
思わず私が「あなた、あのときの電話の……?」と問いかけると、彼女は鼻で笑い、勝ち誇ったような顔で言い放ちました。
「そうよ! ちょうど私が電話を受けたから、答えてあげたの。本当のことを言いたかったけど、◯◯くん(夫)に口止めされてたから……。でも、必死に電話してくるあなたがおかしくて、つい笑っちゃったわ」
その言葉を聞いた瞬間、私が感じていたすべての違和感が最悪の形で一本の線につながりました。同時に、顔を真っ青にしながら「お前とは遊びだって言っただろう!」と必死に彼女を追い払おうとする夫への愛情も消え失せたのです。
“許すふり”をして着実な準備
冷酷な言葉を投げかけられた女性は、泣き叫びながらその場を走り去っていきました。静まり返った玄関で、私は離婚の決意を固めたのです。
騒ぎの後、床に膝をつき、「俺には君しかいない。離婚だけはしたくない」と涙ながらに懇願してくる夫。私は激しい怒りを心の奥底に沈め、あえて穏やかな声でこう告げました。
「わかった。少し考える時間をちょうだい。その代わり、本当に反省しているなら、今日1日かけて家の中をピカピカに掃除しておいて」
必死に床を磨き始めた夫を背に、私は「頭を冷やしてくる」と言い残して家を出ました。その足で向かったのは、不動産屋と弁護士事務所。夫の不倫を許す気はまったくないので、邪魔をされないようにあえて“許すふり”をして掃除を命じ、私はその間に新しい生活への準備を始めることにしたのです。
浮気相手が自爆!?不倫の証拠をあっさり入手
月曜日、私は確信を持って夫の会社の近くへ向かい、例の女性を待ち伏せました。彼女は私を見つけるなり、苛立ちを隠せない険しい表情で詰め寄ってきます。
「どうしてまだ別れてくれないの!? 私たち、こんなに愛し合っているのよ!」
自宅での「遊びだ」という夫の言葉に焦り、私を追い詰めて離婚させようと躍起になっている様子。
私は冷静に、彼女へこう告げました。
「そんなに愛し合っているなら、その証拠を見せて。私が納得できるものなら、身を引くことも考えるわ」
彼女は「これで離婚に応じるはずだ」と確信したようで、夫との親密な写真や、愛をささやき合うメールの履歴を次々と見せてきたのです。
私は彼女の優越感をくすぐるような口調でこう切り出しました。
「たしかに、夫は私のことなんてどうでもよくて、あなたのことを一番愛しているのかもしれないわね。……ねえ、その写真ややり取りを私にも送ってくれない? 彼が私を裏切っている事実をじっくり見て、完全に諦めをつけたいの」
私の言葉に、彼女の顔がパッと明るくなり、自慢げに夫との親密な写真やメールの履歴を、次々と私のスマホへ転送してきました。
不倫の動かぬ証拠を自ら差し出しているとも知らず、彼女は満足げな表情で去っていったのでした。
浮気した夫と女のその後
準備を整えた私は、弁護士を通して夫との話し合いに臨むことに。当初、夫は「魔が差しただけだ、やり直したい」と、必死に離婚を拒み続けました。しかし、私が不倫相手から自ら差し出させた大量の写真やメールを突きつけると、彼は言葉を失ったのです。
さらに追い打ちをかけたのは、不倫相手自身の暴走でした。彼女は私から夫を略奪できると確信して、気が大きくなっていたのでしょう。「私が自宅まで行って奥さんに直接『早く別れて』って言ってやった」「もうすぐ彼と結婚する」と、あろうことか職場内で自慢げに言いふらしていたのです。
自ら不倫を暴露した彼女のせいで、夫はすでに職場で針のむしろの状態でした。弁護士から「これほど明確な証拠がある以上、裁判になれば勝ち目はありません。冷静に条件を話し合いましょう」と淡々と告げられ、夫はようやく自分の置かれた状況を悟り、力なく離婚届に署名しました。
その後、二人は社内での居場所を完全に失い、逃げるように会社を去っていったそうです。
夫と不倫相手の両名から慰謝料が支払われ、現在は心機一転、新しい住まいで再就職した仕事に打ち込んでいます。あの時、冷静に「許すふり」をして準備を進めた自分を誇りに思いながら、自由な生活を謳歌しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。