仕事から帰宅すると、それまで楽しそうに笑い合っていた二人が、私の顔を見た瞬間に冷ややかな態度に変わりました。夫は「うわ、もう帰ってきたのかよ。お前がいると空気が悪くなるんだよな」と吐き捨て、それに同調するように息子も「ママうるさいから嫌だ! あっち行って!」と叫ぶ始末。
夫に影響され私をバカにするようになった息子
夫に「子どもがまねをするからやめて」と何度も訴えましたが、まったく聞き入れてくれません。それどころか、息子がどれだけ私に失礼な態度をとっても夫は一切叱らず、むしろ私を悪者に仕立て上げるような言動を繰り返しました。
食卓で息子にお箸の持ち方を注意しても、「パパはいいって言ったもん!」と反抗される毎日。
「ママのごはん、まずいから食べられない」「パパ、ママが朝からうるさくて嫌だね」……。私をバカにするような息子の一言一言を、夫は満足そうにニヤニヤしながら眺めていました。
「ママいらなーい!」突きつけられた衝撃の事実
そんなある日、仕事が予定より早く終わって帰宅した時のことです。二人がリビングで盛り上がっている声が聞こえてきました。
「あーあ、早くママが出ていってくれないかな」
夫のその言葉に、息子が続けました。
「ねえ、なんでママと結婚したの? 僕、ママいらなーい!」
あまりのショックと怒りで、私は震えが止まりませんでした。抑えきれなくなり、「そんなに嫌なら、私がこの家を出ていくわ!」と声を荒らげて二人の前に立ちました。
どこかで「冗談だよ、行かないで」と引き止めてもらえることを期待していたのかもしれません。しかし、返ってきたのは残酷な歓声でした。
「わーい! ママが出ていくって!」
大喜びする息子の口から、さらに信じられない言葉が飛び出しました。
「やったねパパ! これであのお姉ちゃんと一緒に暮らせるね!」
問い詰めると、夫は開き直って白状しました。私が仕事の間に不倫相手を自宅に連れ込み、息子に会わせていたこと。息子もその女性にすっかり懐いていること。
さらに、その女性の実家が資産家であることに味を占め、「もう俺が働く必要はない」と数日前に勝手に仕事を辞めたと言うではありませんか。
不倫に溺れ、家庭の責任も放棄した夫。そして、それを喜んでいる息子。この家に自分の居場所はないと悟った私は、その場で離婚を決意し、荷物をまとめて家を出ました。
逆転の結末!身勝手な夫を待ち受けていた現実
実家に身を寄せ、弁護士を介して離婚協議を進めていたある日のこと。夫から直接、私のスマホに慌てた様子で電話がかかってきました。
あてにしていた不倫相手との結婚話が、彼女の両親によって潰されたというのです。「娘が既婚者と不倫をしていただけでなく、相手は子持ちで、しかも無職」という最悪の状況を知った両親は激怒。娘への支援をすべて打ち切り、強制的に縁を切らせたとのことでした。
金銭的な後ろ盾を失い、さらにわがまま放題に育った息子に、不倫相手の女性も手を焼き、逃げ出したようでした。
「息子のためだ、離婚は考え直してくれ。お前が働いて、俺たちを養ってくれればいいから……」
散々私を蔑ろにして追い出しておきながら、あまりに身勝手な物言いにあきれ果てました。私は、息子がここまで荒れてしまったのはあなたの影響だということ、不貞行為に対する慰謝料は一括で請求し、一円も減額しないこと、そしてあなたを養うつもりなど微塵もないことを告げ、電話を切りました。
泥沼の果てに…息子と歩む新しい道
しかし、電話を切ったあとに残ったのは、息子への強い懸念でした。計画が破綻し、自暴自棄になっているであろう無職の夫。そんな人のそばに、不倫相手からも見捨てられた息子が取り残されている……。
あんなにひどいことを言われましたが、それを吹き込んだのは夫です。ひとりぼっちで夫の荒れた生活に巻き込まれているだろう息子の身を思うと、居ても立ってもいられませんでした。私にとっては、どんなことがあってもおなかを痛めて産んだ、大切なわが子なのです。
「あの子をこれ以上、あんな環境に置いておくわけにはいかない」
私は弁護士を通じて、育児放棄に近い状態にある夫から息子をすぐに引き取る手続きを取りました。あわせて離婚協議も一気に進め、不貞の証拠とこれまでの暴言の記録を盾に、無事に親権を獲得。その後、正式に離婚が成立しました。
久しぶりに再会した息子は、夫に刷り込まれた悪意が嘘だったかのように、目を真っ赤にして「ママ、ごめんなさい……」とポロポロ涙を流して謝ってくれました。そんな息子の姿を見て、私はただ抱きしめることしかできませんでした。
当然、今後は甘やかすつもりはありません。失われた時間を取り戻し、真っ直ぐな子に育てるには相応の覚悟が必要ですが、深い愛情を持って根気強く向き合い、思いやりのある人間に育てていくつもりです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。