「定年したら海外に行こう」突然の移住宣言
ある日、夫が唐突に「俺が定年したら、海外に移住しよう!」と言いだしたのです。あまりに突然で、私は耳を疑いました。「え? いきなり何の話?」。家のこと、生活費、将来のことを考えれば、現実的とは思えません。私たちは決して余裕のある生活をしているわけでもなく、英語が話せるわけでもありません。
それでも夫は、「お前の弟は海外で暮らしているだろ。めいっ子も向こうにいるし、近くに住めば安心だ」と、妙に前向きでした。
たしかに、めいのことは実の子のようにかわいがってきました。なかなか会えず寂しい気持ちは理解できます。ですが、それと自分たちが海外移住する話は別です。私は、長年暮らしてきた日本での生活を続けたいと思っていました。
現実を伝えてもかみ合わない夫
「海外で暮らしたいのは、あなただけじゃない?」と伝えると、夫は不機嫌そうに「お前は海外生活の良さを知らないだけだ」と言います。さらに、「スマホがあれば言葉の問題は何とかなる」「年金とお前の収入を合わせれば、アメリカでも暮らせる」とまで言いだしました。
私は思わず声を荒げました。「今の円安と物価高で、それは無理よ。私には高齢の両親もいるし、私たち自身もこれから年を重ねていくのよ?」。
何度話しても、夫は夢の話ばかり。私は現実を伝え続けましたが、最後は「……もういい」と話を打ち切られてしまいました。
このときは、ひとまず諦めてくれたのだと思っていました。しかし、それは甘い考えだったのです。
相談もなく家を売却され、離婚を決断
夫が定年退職し、これからは夫婦2人の生活が始まる……と思っていた矢先のことでした。
ある日、夫が売買契約書のような書類を差し出し、「この家は売った。海外に行くぞ」と言ったのです。私は言葉を失いました。私に相談もなく、住んでいた家の売却を進めていたのです。怒りと不安が一気に込み上げました。
私は「もう無理です。私は離婚します」と伝えると、夫は信じられない言葉を返してきました。
「それくらいで離婚? 妻は黙って夫についてくるものだろ」
そのひと言で、私の気持ちは完全に固まりました。私は専門家に相談し、手続きを進めることにしました。夫はようやく事の重大さに気付いたようでしたが、もう遅かったのです。
住む場所を失った私は実家に戻り、静かな生活を選びました。夫の身勝手な判断が、離婚の決定打になったのは間違いありません。
夢の海外生活が崩れた、その後
離婚後、夫はひとりで海外へ渡ったと聞きました。しかし、現地で契約した住居をめぐり、思わぬトラブルに巻き込まれていたようです。詳しい経緯はわかりませんが、結果的に住む場所を確保できず、金銭的にも困窮していったと後から知りました。
「助けてほしい」「送金してほしい」という連絡が来ることもありましたが、私にはもう関係のない話です。
頼りにしていた私の弟一家も、タイミング悪く日本へ戻ることになり、思い描いていた生活とはほど遠い状況だったようです。結局、1年もたたないうちに日本へ戻ったと聞きました。
自分の人生を守った、今の暮らし
私は今、実家で高齢の両親と穏やかな毎日を送っています。Webデザイナーの仕事も続けられ、自分のペースで暮らせています。
熟年離婚には迷いもありましたが、今は心から「間違っていなかった」と思えます。他人の一方的な夢に振り回されず、自分の人生を守る選択ができたからです。
家族にも迷惑をかけず、自分の平穏を守れたことが、私にとって最良の決断でした。
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定年後の海外移住という夢を、妻の同意もなく進めてしまった夫。現実的なリスクや生活設計を軽視した結果、夫婦関係は修復できないところまでこじれてしまいました。一方で、冷静に状況を見極め、自分の人生を守る選択をした妻の姿が印象的です。夢を持つことは大切ですが、現実とのバランスを欠かない判断が必要だと感じさせられますね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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