最終面接まで残った私
最終面接の部屋の前で、私は緊張しながら母と弟から渡された「お守り」を握りしめていました。同じく最終面接に訪れた学生たちを見て「みんな私より優秀に見えるけど、大丈夫かな……」と不安が募る中、面接官から名前を呼ばれました。
「こちらにどうぞ」と案内された部屋の中央には一脚の椅子があり、長テーブルの向こう側には数名の面接官が。その中の1人が、私の名前を読み上げて言いました。
「じゃあ、そこに座って自己紹介して」
母子家庭を見下す面接官
私は名前を言ってから、あいさつをして着席。すると、「A山」と名乗る中年の男性面接官が、こちらをじろじろ見ながら話し始めました。
「成績は優秀だな。それに、ボランティア活動か……。ん?」
最初は私に好印象を抱いていたであろうA山が、突然口調を変えました。
「母子家庭か。ダメだな」
あまりにも唐突で冷たい言い方に、私は言葉を失いました。
さらに、「家庭環境に問題のある人は論外だな」とも言われ、私は静かに「申し訳ありませんが、おっしゃる意味がわかりません」と反論。すると、A山はさらに冷たく「君みたいな家庭の子が、わが社に来るのは無理だよ」と言い放ったのです。
社長が面接会場に
ほかの面接官たちも、思わぬ展開に驚いた様子。私は悲しい気持ちになり、「片親だと採用対象になれないのですか?」と尋ねると、A山は周囲を制して言いました。
「君、同情を買おうとしているのか。そんなことをしても無駄だよ」
そのときです。私はある重大なことに気がつき、ここで引き下がってはいけないと覚悟を決めたのです。
そして、ある年配の男性が部屋に入ってきました。
「どうだね、面接は順調か?」
この男性は社長で、すぐに私は椅子から立ってあいさつをした後、「社長、お話したいことがあります」と言いました。社長は「何だね?」とやさしく返答し、私は勇気を出して、A山の理不尽な言葉や態度、母子家庭を理由に差別を受けていることを伝えたのです。
私はA山の過去を暴露
「本当にそんなことを言ったのか?」と驚く社長。
「はい。そして私が母子家庭なのは、このA山さんが元凶です。これをご覧ください」
私は1枚の写真を取り出しました。
「これは、昔に撮影した私の家族写真です。ここに写っている父、これがA山さんです。A山さんは何度も不倫を繰り返したうえ、勝手に家を出ていき母と離婚。養育費や慰謝料も払わず、母と弟と私を見捨てたのです」
一瞬で部屋の空気は凍りつき、A山の顔は真っ青に。母が「お守り」と一緒に持たせてくれた唯一の家族写真がこんなところで役に立つとは、思ってもいませんでした。
「本当なら許しがたい。ひとまず、A山くんは面接官から外れなさい」と社長は言い、A山と一緒に部屋から出て行ったのでした。
A山のその後は…
その後、面接での問題発言を受け、A山は会社の上層部から叱られたよう。ただ、本人はそれに納得いかず、「こんな会社辞めてやる」と自ら退職したそうです。
そして、私の採用面接は後日改めておこなわれ、無事に採用が決定しました。母も弟もとても喜んでくれて、私たち家族は新たなスタートを切ることができたのでした。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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