「今日は迎え、行ってくるよ」
そう言って、身なりを整え、やけに楽しそうに保育園へ向かうようになったのです。
少しずつ変わっていった夫
夫の変化を不思議に思っていたある日、娘がぽつりと教えてくれました。
「パパ、新しく来たママとよくお話ししてるよ」
胸の奥が、ざわっとしました。
翌日、私が迎えに行くと、ひときわ華やかな印象の女性が声をかけてきました。明るく、距離感の近い話し方で、シングルマザーだと言います。
「ご主人、いろいろ相談に乗ってくれて助かってるんです」
にこやかな笑顔でしたが、言葉にできない違和感が残りました。その頃から、夫の帰宅は徐々に遅くなり、飲み会や出張が増えていったのです。
目の前で突きつけられた裏切り
ある週末、ショッピングモールで買い物をしていると、見覚えのある後ろ姿が目に入りました。夫とあのママさんが、腕を組んで歩いていたのです。明らかに親し気な様子でベタベタ……その様子を写真と動画に収めたあと、私から声をかけました。
私と目が合うと、彼女は夫に抱きついてこう言いました。
「旦那さんは私がもらうわ♡ あなたより、私のほうがふさわしいと思うの」
「大企業に勤めていて高給取り。家事も育児も協力的な旦那さんなんて、あなたにはもったいないもの~♪」
あまりにも唐突な言葉に、驚くより先に、頭が妙に冷えていくのを感じました。
私は小さく息を吐いて、短く答えました。
「別にいいけど」
彼女は一瞬、言葉に詰まったようでした。その横で、夫は何も言えず、視線を落としたまま立ち尽くしていました。私は淡々と、事実だけを伝えました。
「大企業に勤めているのは、私です。夫は個人事業主として職人をしていますが、最近はあまり仕事がないようなので、保育園の送迎をしてもらっていました。夫はそれ以外、家事も育児も一切しませんよ」
「家も車も、結婚前に私が自分で買ったもの。夫は借金があって、そもそもローンなんて組めなかったでしょうけど」
「生活費も子どもの教育費も全部、私が出しています」
彼女は驚いた表情で夫を見つめましたが、夫は黙ったままでした。
自分で選んだ、娘と穏やかな日々
その後、私は離婚を選択しました。感情的に責めることはせず、話し合いのもと、法的に必要な手続きを進め、区切りをつけました。
今は娘と二人、穏やかな毎日を過ごしています。
すぐ嘘をついて見栄を張ろうとする夫と別れて、正直気持ちがラクになりました。我慢し続ける人生より、手放して軽くなる人生のほうが、ずっといい。
あの日「別に良い」と言って関係を手放す決断ができた自分を、今では少し誇りに思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。