さらには、保育園の先生が感染症対策のために「熱が下がってから24時間は登園を控えてください」と伝えたところ、あいかは眉間にシワを寄せながら深いため息……。
その次の日、はるとくんは欠席したものの、先生たちははるとくん一家が家族の時間を持てているのか、心配でなりません。
はるとくんについて、保育園の全体会議に取り上げると…?
















普段のあいかの様子から、保育園の先生が疑ったのは情緒的ネグレクト——。
それでも確証がないなかで、どこまで踏み込んでよいものか。先生たちは、はるとくん一家への思いから激しく葛藤するのでした。
「虐待かも?」という迷いは、先生たちが保護者に寄り添おうとしているからこそ。 しかし、日本の法律(児童福祉法・児童虐待防止法)では、虐待の確証がなくても、疑いがある段階で、すべての人に通報(通告)の義務があります。
特に保育士などの専門職は、法律によって一般の人以上に「虐待の早期発見に努めること」が義務づけられています。さらに2025年(令和7年)には「改正児童福祉法」が施行され、園内で起きた虐待に対しても、速やかに自治体と連携し、報告を確実におこなうための仕組みがより明確になりました。
「通報」は決して保護者を裁くためではなく、育児に余裕をなくしている家庭へ、行政の“適切な支援”を届けるための第一歩なのです。
また、「情緒的ネグレクト」という言葉、初めて聞いた人もいるかもしれません。日本小児科学会は、これを「発達に必須な情緒的ケアを与えない」こととしています。
具体的には、子どもが話しかけても無視したり拒絶したりする、喜び・悲しみ・怒りといった感情表現を受け止めず無関心な態度をとる、愛情表現が極端に少ない状態などを指します。
情緒的ネグレクトの場合、体にあざができるといった目に見える傷あとが残らないため、周囲が気づきにくいだけでなく、保護者自身も「自分は叩いていないし、ごはんも食べさせているから虐待なんてしていない」と無自覚なケースが少なくありません。
幼少期に適切な愛着関係を築けないことは、子どもの自己肯定感の低下や、将来的な対人関係の悩みにつながるなど、心の発達に大きな影響を及ぼすと言われています。
とはいえ、医療の専門知識を持たない保育士さんが虐待かどうかを断定するのは難しいことです。また、保護者の方も日々の忙しさに追い詰められ、余裕をなくしているのかもしれません。
非常に難しい問題ではありますが、「私、子どもに当たっているかも……?」と不安になったときには、近隣の児童相談所につながる児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」に相談するのも1つの手段です。
“虐待”という言葉にハードルを感じるなら、各自治体の子育て支援課や子ども家庭支援センターでも相談を受け付けています。どちらに相談しても抱えている不安や悩み、苦しさを打ち明けることができますよ。
まえだ永吉