夫の親族から繰り返される「子どもは?」に…
私は笑ってごまかしながらも、心の中は揺れていました。なぜなら――“子どもができない原因”は、夫にあるからです。
私たちは検査を受け、医師から「原因は夫側にあり、自然妊娠の確率は低い」と告げられました。私はその事実を、夫のプライドを傷つけないよう胸にしまい込んできました。親戚に会えば、矢面に立つのはいつも私。夫の親族は集まりが多く、何度も何度も同じ質問を浴びせられ、そのたびに私は曖昧に笑って受け流す。苦しくても場の雰囲気を壊したくなくて、耐えてきたのです。
だからこそ私は、義母には早めに伝えたほうがいいのではないか、と夫に提案しました。理由を聞かれたとき、結局は説明しなければならない。先延ばしにしても、逃げ切れるとは思えませんでした。
ところが夫は顔をこわばらせ、「俺が子どもを作れないって母さんに知らせるのか? ショックを受けるだろ」と言いました。さらに「自然に任せてダメだったってことにすればいい」と言い、話を終わらせようとします。不妊治療に少しでも挑戦できないか――そう伝えると、夫は露骨に面倒くさそうにし、「無駄金だ」「金と時間をドブに捨てるようなものだ」と言い切りました。
本当に残業?夫の同僚に偶然会うと…
それから1カ月。夫の帰宅は連日遅くなりました。最初は「どこも人手不足だから」と言われ、私は「無理しないでね」と返すしかありませんでした。けれどある夜、ふとした偶然が、その言葉を崩しました。
私は職場近くで、夫の同僚・Aさんに会ったのです。雑談の流れで最近の忙しさを尋ねると、Aさんは不思議そうに言いました。「今、そんなに忙しくないですよ。残業する人もほとんどいなくて」
その瞬間、頭の中で何かが音を立てて崩れました。帰宅が遅い理由は残業ではない。そう確信した私は、その夜、夫に帰宅が遅かった理由を問いただしました。
夫は最初、面倒そうに返しました。私が「残業じゃないでしょ」と言うと、逆に苛立った口調になり、Aさんのことを「暇人」「出世から外れてる」と嘲笑しました。そして最後に、まるで免罪符のように言ったのです。「俺は子どもを作れないから仕事を頑張るしかない」「男のプライドなんだ」「黙って信じてついてきてくれればいい」
義母の前で聞いた…夫の“あり得ない嘘”
2週間後、義母から夫に電話が入った日。私は偶然、義母の家にいました。義母が「今日休みよね? 今からうちに来て」と呼び出したのに対し、夫は「外出中」と答えたそうです。義母が「◯◯さん(私の名前)と?」と聞くと、夫は「別」と言い、さらに「あなたたち夫婦のことで……」と切り出された途端、苛立ったようにこう言ったそうです。
――また子どもの話か。前も言っただろ。うちは無理なんだ。嫁に拒否られてて、これじゃ子どもができない。
私は義母の隣で、その言葉を聞きました。血の気が引く、という感覚は本当にあるのだと初めて知りました。義母も動揺していました。「それは本当なの?」と。夫は続けました。自分だって子どもがほしいのに、妻が受け入れようとしない。母さん、ごめん、孫の顔を見せられなくて――。その場で、私の中の何かが切れました。
義母のスマホを借り、私は夫に連絡しました。夫は混乱した様子でした。「母さんのスマホだろ?」と。私は告げました。今、義母と一緒にいること。あなたがどんな嘘をついたのか、全部聞いたことを。
夫がついた“もうひとつの嘘”を追及すると…
夫は慌てて言い訳を始めました。「母さんに不妊のことをどうしても言えなかった」「お前ならわかってくれるだろ」「男の俺が原因って、どうしても言い出せない」と。たしかに理解はできます。私だって、夫のプライドを守りたくて黙ってきたのですから。けれど――自分の不妊を、私のせいにしていい理由にはなりません。
そして、私が本当に許せなかったのは、そこだけではありませんでした。私は、もう調べていました。夫がどこにいるのか。誰と会っているのか。仕事という言葉の影に隠した行動の数々を。証拠も、相手の名前も住所も、揃っていました。
私は告げました。「ごまかさないで。あなた、他の女と一緒にいるでしょ」
夫は「そんなわけない」「浮気なんてしてない」と反射的に否定しました。でも、もう遅い。私は冷静に言いました。証拠がある。だから離婚する、と。夫は「誤解だ」と繰り返しましたが、私の気持ちは戻りませんでした。
義母が味方に…夫と不倫相手の末路は
数日後、夫は義母に泣きついたそうです。離婚することになる、どうにか繋いでくれ――と。けれど義母は、私の味方でした。「離婚のことならもう決まったでしょ。不倫したあんたが何を言ってるの。早く離婚届にサインしなさい。証拠があるんだから、調停になったら結局離婚よ」
義母は怒っていました。それも当然です。義母自身、私がどれだけ親戚の“孫攻撃”にひとりで耐えてきたかを知っていました。義母は私を責めたことはありませんでした。むしろ、何か力になれないかと思っていたからこそ、子どものことを尋ねたのだと言いました。
「◯◯さん(私の名前)は、あなたの不妊のことを絶対に言わなかったのよ。なのにあなたは、妻を裏切って不倫してたの。離婚されて当然でしょう」その言葉を聞いたとき、私は――やっと救われた気がしました。私が黙って守ってきたものを、誰かが“ちゃんと見てくれていた”。その事実だけで、心が少し軽くなったのです。
夫は「不妊だとわかってむしゃくしゃしてた」「つらさを忘れようとして」と言いました。けれど私は、もうその言葉に揺れませんでした。つらいからといって、妻を裏切っていいわけがありません。
その後、義両親の協力もあり、私は無事に離婚できました。不倫相手は元夫と同じ会社の女性で、その女性からも慰謝料を受け取りました。夫は関係を切ったそうですが、相手は逆上して周囲に関係を暴露し、社内で騒動になったとも聞きました。つらいこともありましたが、前だけを向いて歩いていこう――今はそう思っています。
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子どもの話題は「善意」や「心配」から出たものであっても、夫婦の事情は外からは見えにくいものです。だからこそ、周囲は踏み込みすぎず、夫婦は気持ちを共有しながら、すれ違いを防いでいけるといいですね。
【取材時期:2026年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています。