「賃貸なんてみっともない」と言う彼女
ある日、彼女が僕の部屋に遊びにきたときのことです。
立地もよく、二人で暮らすには十分な広さのある賃貸マンションなのですが、彼女は部屋に入るなり、「はぁ……」とわざとらしいため息をつきました。
「ねえ、本気でここに住み続けるつもり? 賃貸マンションなんて恥ずかしい! 結婚するなら、ちゃんとした戸建てを買ってよ」
僕は「ここは駅から近くて便利だし、管理もしっかりしている。まずは賃貸で十分だと思うんだけど」となだめましたが、彼女は聞く耳を持ちません。
「私の友達はみんな、旦那さんが立派な戸建てを買ってくれてるのに! 私だけ賃貸なんて、周りに顔向けできないわ。あなたは甲斐性がないのね」
彼女は腕を組み、僕を完全に見下した目でそう言い放ちました。
実は僕、彼女には話していませんでしたが、数年前に親から評価額約1億円の一戸建てを相続していました。 ただ、新婚の二人で住むには広すぎて管理が大変なため、知り合いの経営者に貸していたのです。
いずれ彼女にも話して、将来的にどうするか相談しようと思っていました。しかし、家の「所有」だけで僕の価値を決めつけるような態度に、僕は「この人とは価値観が合わないかもしれない」と冷めた気持ちを抱き始めていました。
望み通り婚約破棄を決断
それから数日後。彼女から電話がかかってきました。
出るとすぐに、彼女は冷たい声でこう告げました。
「やっぱり、賃貸マンションに住んでるような人とは結婚できないわ。私、もっとお金持ちの人を探すから」
一方的な婚約破棄の宣言でした。
しかし、僕はショックを受けるどころか、正直ホッとしたのです。
「わかった。君の望み通り、婚約は破棄しよう」
僕があっさりと承諾すると、彼女は拍子抜けした様子でしたが、すぐに「せいぜい一生、賃貸でみみっちく暮らせばいいわ」と捨て台詞を吐いて電話を切りました。
それから数ヶ月後のことです。
あの家を貸していた知り合いが、急遽海外へ引っ越すことになりました。
すぐに次の借り手も見つからず、空き家のままでは家が傷んでしまいます。
僕はこれを機に賃貸マンションを引き払い、相続した一戸建てに移り住むことを決めました。
後日、真実を知った彼女から連絡が…
広々とした庭付きの家での暮らしにも慣れ、友人を招いてバーベキューなどを楽しんでいた頃です。
なんと、SNSを通じて元彼女から突然メッセージが届きました。
「久しぶり! 元気? ちょっと話があるんだけど、会えないかな?」
僕が無視していると、通知が次々と鳴り止まなくなりました。
「ねえ、友達のSNSで見たんだけど……あなた、あんなすごい家持ってたの!?」 「どうして私に教えてくれなかったの!? 隠すなんてひどい!」 「あの時はどうかしてたの。もう一度、やり直しましょうよ」
どうやら、僕の家に遊びに来た友人がSNSにアップした写真を偶然見つけ、その場所が僕の家だと知って慌てて連絡してきたようです。
家のスペックを知った途端、態度を180度変えてすり寄ってくる浅ましさに、僕は呆れ果ててしまいました。
「君が望んだ通り、婚約は破棄したよね。『みみっちい』僕には君は高嶺の花だから。もう連絡してこないで」
そう返信し、彼女をすべての連絡先からブロックしました。
「賃貸に住んでいる」というだけで切り捨てられた僕でしたが、その出来事が見栄とプライドに振り回された彼女の本質を炙り出すことになりました。
今となっては、価値観の合わない人と結婚する前に終わって本当によかったと、心から思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。