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「肉じゃがは豚じゃなくて牛!言うことを聞け!」些細なことで家出を繰り返す夫→やったぁ♡家出中好きにした結果

私は、夫と幼い娘と賃貸マンションで暮らしていました。娘と過ごす時間は、私にとって何よりの癒しでした。笑顔で他愛ない話をしてくれる、その時間だけは心から安心できたのです。

ところが、夫が家に居ると空気が変わってしまうのです。夫は家の中でだけ機嫌が悪く、些細なことでキレるようになったのです。そして一度キレると決まって「出ていく」と言い家出を繰り返すようになったのです。外では「家事も育児もやってます」と良い夫を演じるのに、家ではため息、舌打ち、命令口調……。こちらが気を遣えば遣うほど、態度は横柄になっていきました。決定的だったのは、ある日の夕食でした。

 

「肉じゃがは豚じゃなくて牛だろ!」

その日の夕食は、いつも通りの肉じゃがでした。娘が好きで、夫もこれまで文句を言ったことのない、わが家の定番メニューです。夫が無言で箸を取り、数口食べたところで箸を止め「……は?」と呟いたのです。

 

その声のトーンで、空気が変わったのが分かりました。すると夫が「なに、この肉じゃが」と私を睨みつけてきました。私が「いつも通りだけど?」と答えた次の瞬間、夫の声が一段階大きくなりました。そして、夫は「肉じゃがは豚じゃなくて牛だろ! 」と激怒! 私が「でも、今までもずっと豚肉で――」と言いかけた瞬間、夫がかぶせるように「口答えするな! 俺が食えないって言ってるんだから、それで終わりだろ!」と言い放ったのです。夫の豹変に娘の手がぴたりと止まり目には涙を浮かべていました。そんな娘の姿を見ても夫の暴言は止まらず「俺の言うことを聞け! 俺が稼いでる金で買った食材なんだから、俺の好みに合わせるのが普通だろ!」と理不尽な発言が飛び出し……。料理の話をしているようで、夫が言いたいのは「俺に逆らうな」「俺の機嫌を取れ」ただ、それだけだと気づいていました。

 

最終的に夫は「俺の言うことを聞けないなら出て行く!」と捨て台詞を吐き、玄関へ向かったのでした。数秒の沈黙のあと、娘が「……まただね」とポツリ。私は、その一言が胸に刺さって、何も返せませんでした。そう……夫はまた、家出をしたのです。

 

 

娘の本音

玄関のドアが閉まったあと、さっきまで張りつめていた空気が急に抜けたような感覚へと変わったのです。私は、暗い気持ちのまま今日を終わらせたくないと思い娘にある提案をしました。

 

私は娘に向かって「悲しい気持ちにさせちゃってごめんね。娘ちゃんの大好きなプリン食べる? そうだ!プリンパーティーしようか」と声をかけました。すると、娘の顔がパァッと明るくなったのです。ホッとした私は冷蔵庫を開け、 “こういうときのために”隠しておいた、ちょっと良いプリンを娘に手渡しました。すると娘は一瞬だけ迷う顔をして「ママ……パパがいないほうが、怖くない。家出してくれたほうが楽しい」と呟いたのです。その言葉を聞いて、私は胸がきゅっとなりました。そして同時に娘の素直で無邪気な反応に笑ってしまいました。私たちはテーブルにプリンを並べ、スプーンを持ちプリンパーティーを始めました。夫の家出は本当は喜ぶことじゃない。でも――“怖かった”だけで終わらせないために、私にはこの切り替えが必要だったのです。

 

プリンを食べながら、娘は「パパ、おうちにいるときいつもこわい顔してるよね」と言いました。私は言葉に詰まり、ただうなずくことしかできません。続けて娘は「大きい声で怒るとき、胸がドキドキしてごはんの味しなくなるんだ」と本音を打ち明けてくれたのでした。その夜、私は決断しました。もう、この生活を続けてはいけないと……。

 

「言うことを聞け!」の終着点

翌日。 昨夜の家出がなかったかのように、夫は何事もなかった顔で帰宅し「なあ、昨日のことだけどさ。俺もちょっと言いすぎたわ」と言うのです。反省というより、 “はいはい、この話もう終わりな?”という空気がにじんでいました。

 

私は静かに「うん、もういいよ。私の中では、もう終わったから」と伝えました。続けて「娘がね、“パパがいないほうが怖くない”って言ったの。その言葉を聞いたとき、決めたの」と一言。いつもの私じゃないことに気づいた夫が慌てて「そんなつもりじゃ……」 と言いかけました。私は夫の言葉を遮るように「つもりの問題じゃないの。これが現実なの」と言い放ちました。私は、テーブルの上に離婚届を置き「無理に今すぐ書いてとは言わない。でも、私の気持ちは元には戻らない。娘があなたと怖いと思う気持ちも消えない。この現実をどう受け止めるかはあなたが決めて」と告げました。しばらくの沈黙のあと、 夫は小さく息を吐き、震える手で名前を書きました。私と娘は怯える生活から抜け出すことができました。

 

今では、気持ちを切り替えるためのプリンパーティーではなく、ただ「一緒に食べたいから食べる」時間になっています。怖くない家で、安心して笑えること。それがどれほど尊いことだったのか、離れてみて初めて気づきました。

 

◇ ◇ ◇

 

家庭内での怒鳴り声や命令口調は、外からは気づかれにくいものです。けれど、それが日常になれば、心がすり減っていくのは当然かもしれません。「怖くない家で暮らしたい」気持ちは、わがままではありません。安心できる環境を選ぶことは、誰にとっても大切な権利なのだと思います。

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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