非常識パパに遭遇
入店からしばらく待ち、いよいよあと2組ほどで私たちの順番というころ、入口から新たに、うちの息子と同じ年ごろの男の子と2歳くらいの女の子を連れた、パパとママの4人家族が入ってきました。
そこへ、次のお客さんを呼ぶため店員さんが来ました。すると、先ほど入ってきた家族のパパがひとりで店員さんの所へ行き、「いつ呼ばれます? ずっと待ってるんですけど」と言うのです。「こちらのボードにお名前を書かれていますか?」と店員さんに尋ねられると、「いやそんなの書いてませんよ。でもずっと待ってるんだ」と言うパパ。店員さんから「お名前を書いてもらった順でお呼びしてまして……」と言われると、そのパパは私のほうに向いて「えー! うちさっきからずっと待ってましたよね? 見てたでしょ!?」と巻き込んできたのです。
驚いた私は「いや、知りません」と言うのが精いっぱいでした。しかし、「俺たちここにいたじゃないですか。まあとりあえず、うちがずっと待ってたってことで、先に行かせてもらいますね?」と、勝手に話を進めようとする始末です。ママと子どもたちは、少し離れたところの待合ベンチに座っていて、こちらのやり取りは見て見ぬふり。
周囲にもお客さんがいたものの、そのパパはなぜか私にだけ向かって、「ね! いましたよね!」と繰り返し言ってきます。私は「もしかして、私が断れなさそうな雰囲気に見えて強気で言っているのかな……」と思い始めました。もちろん店員さんとのやり取りもずっと平行線。もう、話が通じない人なんだと呆れ、店員さんにも諦めの表情が見えたそのときです。
少し離れたところで子どもと座っていた、日ごろ温厚な夫が歩いてきて、「あの。あなたついさっきお店に入って来ましたよね? わかりやすく受付ボードもあるし、知らなかったは通らないと思います。それに、うちがいいと言ってあなたを先に行かせるということは、後ろでずっと待ってる方たちがさらに遅くなるということですよね? そんなことできません。あと、妻を巻き込まないでください。非常識な人と知り合いだと思われたくありませんので」と、伝えてくれたのです。さらに、夫の発言を聞いた周りの人も騒然とし、「さっき入ってきたばかりじゃないか」などと加勢してくれたのです。
思わぬ加勢に焦りだした非常識パパは、機嫌が悪くなり、後ろのほうで待つ家族の元へ向かうと「いつもならいけたのに、今日は無理だわ。並びたくないし帰ろう」と言い、お店を出ました。「いつもそんなことしてるの!?」と夫と驚いていると、騒ぎを聞きつけた店長さんが出てきました。どうやら以前から何度か同じようなことがあり、お店側も再三注意していたそう。今回たまたま新人店員さんが対応したために、知らなかったようです。その後も何度かそのお店に行きましたが、私たちが行くときにあの家族に会うことはありませんでした。
早く食べたい気持ちはみんな同じです。順番を守るというのは、大人として、ましてや親としても子どもの手本になるよう守るべき社会のルールだと私は思います。見ず知らずの他人の間違いを指摘することは、勇気のいることかもしれません。しかしそれは結果的に、周囲を守ることにつながるのだと改めて気づかされました。夫のように、他人にもしっかり間違いを注意できる勇気を持ちたいと思った出来事でした。
著者:立川りか/30代・ライター。7歳の男の子を育てるママ。息子の好きを全力で応援するため日々奮闘中。虫が大の苦手だが、息子の虫取りに付き合ってきたおかげで少しだけ耐性がついてきた。食後のデザートや週末の晩酌がご褒美。
作画:ひのっしー
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)