笑いながら言うこと?
現在4歳の息子が、生後半年ほどのときのことです。職場の同僚たちが自宅にお祝いを持ってやって来てくれました。2歳の子どもがいる2歳年下の後輩Aと、成人し社会人の子どもが2人いる50代の先輩Bさんです。
後輩のAはとてもしっかり者で、はっきりと物を言うタイプ。私たちの仕事は接客業でしたが、お客さまからの理不尽な言いがかりやクレームにもひるむことなく立ち向かうので、頼りにしていました。先輩のBさんは私が入社した当初からお世話になり、仕事のことやプライベートなことなど、何でも相談できる少し年上の先輩です。妊娠中も出産に対する不安や子育ての疑問など、いろいろなアドバイスをしてくれました。とはいえ、Bさんのお子さんはすでに社会人になっているので、妊娠や出産、育児については、ジェネレーションギャップを感じることも多々。しかし、私を思ってくれていることは伝わっていたので不快に思うこともありませんでした。
2人が遊びに来る当日、私は正直日々のお世話で疲労困憊。しかし2人に会ってリフレッシュしたい思いもあり、楽しみにもしていました。そんな中、Bさんは会って私の顔を見るなり「どうしたの! めっちゃやつれてるじゃん!」と笑いながら言います。Aは「そりゃ毎日疲れますよね。そんなときにお邪魔してすみません」と遠慮気味に言いました。その後お茶を飲みながら、息子が離乳食を食べてくれないことや、ミルクの量など、悩みを聞いてもらう時間に。Bさんは「も~気にしすぎよ! そんな神経質になってたらやってけないよ!」と私の肩をたたきます。しかし、初めての育児で、「適度に手を抜く」「気軽でいる」ことができなかった私。「気にしすぎ」で片づけるBさんのアドバイスに少しモヤモヤしていました。
さらに当時の息子は夜中に何度も目を覚まし、抱っこをしなければ寝なかったので、寝不足が続いていた私。その悩みを伝えると、Bさんは「あ、子どもがすぐに寝る、とっておきの方法があるよ」と言います。どんな方法か尋ねると「赤ちゃんが寝る前に少しお酒を飲んで、それから母乳をあげるの。そしたら驚くほどすぐに寝るっていう噂よ」と言うのです。授乳中の飲酒がダメなことは、今も昔も変わらないはず……。私は、尊敬するBさんからそんなアドバイスを受けるとは思っておらず、驚いて言葉が出ませんでした。隣でAも驚いています。
さらにBさんは「赤ちゃんもすぐに寝てくれて、母親もストレスを発散できたら一石二鳥よね! あなたもやってみなよ!」と笑っています。そう話すBさんは、今の私がどれほど追い詰められているかを察するどころか、必死な私の姿を「真面目すぎて滑稽だ」と馬鹿にしているようにも見えました。私はBさんに対するそれまでの尊敬の念が一気に崩れ落ち、ショックで黙り込んでしまいます。
するとAが「え、Bさんが子育てしていたときはそれが普通だったんですか?」と尋ねました。Bさんは「そんなわけないわよ~。赤ちゃんが母乳を飲むってわかっているのに、お酒を飲むなんて普通じゃないからね。もちろん私もしたことないわよ」とまた笑って言うのです。Aが「普通じゃないことを、どうして人にすすめるんですか? 赤ちゃんに何か問題があったら責任取れますか? なんで笑ってるんですか?」と矢継ぎ早に、静かに責め立てます。
するとBさんは、反省するどころか「ちょっとした冗談じゃない。そんなにムキにならなくてもいいでしょ? あなたたち最近の育児書を読みすぎて、少し頭が固くなってるんじゃないの?」と、逆ギレ気味に私たちを小馬鹿にするような態度をとったのです。
しかしAは「命に関わることに冗談なんてありません。先輩として、母親として、今の発言はあまりに不誠実です」と一切引かずに言い返すと、Bさんはようやくマズいと思ったのか、急に顔を引きつらせて「ごめんごめん、冗談だってば! 悪気があったわけじゃないから、そんな怖い顔しないでよ」と、場を濁すように笑って誤魔化しました。私は何と答えていいのかわからず、苦笑いしかできませんでした。復帰後もBさんとは変わらず仲良くしていますが、育児の相談は二度としないと決めています。
昔と現在で子育ての方法が違うのは当然のことだと思いますが、いつの時代も命に関わる禁忌はあると思います。先輩は冗談のつもりで言ったことかもしれませんが、真剣に子育てに向き合っている人へ向ける言葉としてはあまりにも無責任で不適切だったと感じました。子育てに限らず、頑張っている人や真剣に悩む人へのアドバイスは、相手の気持ちをよく考えて、慎重に発言するべきだなと、考えさせられた出来事でした。
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先輩から「飲酒して授乳すると赤ちゃんがよく寝る」と言われたとのことですが、こちらは誤った考えです。飲酒で摂取されたアルコールはママの血液に溶け込み、その一部が母乳に移行します。母乳を通してアルコールを摂取した赤ちゃんは、眠りが浅くなったり、睡眠リズムが乱れたりするなどがあり、睡眠の質が低下し、夜泣きが増えることも。
また、赤ちゃんは内臓や脳が未熟であるため、大人よりもアルコールの影響を大きく受けやすいとされていて、ぐったりしたり、イライラしたりするなどの症状が現れることも考えられます。さらに、アルコールは母乳を分泌するホルモンの働きを低下させるため、母乳の量が減少することもあります。
このように、授乳中に飲酒することは、赤ちゃんの健康だけでなくママの母乳の量にも悪影響を及ぼす可能性があります。したがって、基本的には少量でも飲まないようにしてください。
もしどうしても飲酒をしたい場合は、飲酒後2時間〜4時間以上授乳を控えるなどの工夫が必要です。ただ、アルコールが抜けるまでの時間は飲む量によって変わってくるため、一概に「飲んでから何時間経てば授乳してOK」とは言えません。もし飲酒をしたい場合、アルコール度数を限りなく0に近づけた「アルコール0.00%」と明記された商品を選ぶことが望ましいです。
しかし、慢性的にアルコールが摂取されている母乳を飲むと、子どもの神経発達や運動発達に低下が生じるという報告もあるため、やはり授乳中の飲酒は控えておいたほうがよいでしょう。
著者:竹内美月/ライター。車のおもちゃが大好きな4歳の男の子と、歌って踊るのが大好きな1歳の女の子を育てる母。平日はほぼワンオペ育児。何が起こったのかわからないほどのスピードで時間が過ぎていく、ドタバタな毎日を送っている。仕事終わりに夕飯を作りながら飲むハイボールが楽しみ。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)