旅先で消えた夫。手に持っていたのは…
夫の親族は、例年夏と冬に集まって旅行をするのが恒例行事。しかし、昨年の冬の旅行で事件は起こりました。
当時5歳の長女と3歳の次女を連れたわが家を含め、夫の姉と妹とその子どもたち、義父母と、総勢15名の大所帯。旅行先の有名観光地は、お昼時で大混雑しており、子どもたちを連れて歩くのは、迷子や事故の危険と隣り合わせの重労働です。私は娘たちの手を必死に握り、人波をかき分けて歩いていましたが、そのうち、だんだんと他の親族から離れてしまい、気づけば家族4人だけになってしまいました。
そんなとき、「ちょっとトイレに行ってくる、先に皆と合流してて」と言ってその場を離れた夫。私は両手で娘たちの手を引き、なんとか先に飲食店に入っていた親族と無事合流します。「先に食べてるね」と夫にメッセージを送り、皆で昼食をとりながら私たちは待つことにしたのです。
しかし、待てど暮らせど、夫は来ません。メッセージは既読になっていたものの返事がなく、ほかの親族も幼い子どもを連れているので、娘たちの食事の面倒もほぼ私のワンオペ状態でした。なんとか昼食を食べ終えたあとも、電話もつながらず、「今どこ?」と私はさらにメッセージを送ります。ところが、今度は既読もつかなくなってしまいました。
お店についてから約1時間。さすがに遅すぎると心配になり、皆で夫が入ったであろう公衆トイレまで迎えに行きますが、夫の姿がありません。いよいよ行方不明だ! となり、親族総出で来た道を戻りながら捜索することになりました。とはいえ、有名観光地なだけあり、どこも人・人・人。30分ほど歩いて「もう疲れたよぉ……パパどこ行ったの?」と幼い娘たちも歩き疲れて泣き出してしまい、少し道からそれたところで娘たちをなだめながら、どうしようかと頭を抱えたそのときです。両手にお酒の入ったプラカップを持った夫が、どこからともなくふらっと姿を現しました。
「今まで連絡もなく何してたの? 子ども連れてこっちは大変なのに、余計な心配かけて……皆探してたのよ!」と私が詰め寄ると、夫は「あー、お疲れお疲れ~。トイレ出たら地ビール見つけちゃってさ。手が塞がってたから返信できなかったんだよ」とヘラヘラ笑って悪びれる様子もありません。怒りに震える私をよそに、夫はさらに「そんなに怒るなよ。たまの旅行なんだから、俺も自由にさせてくれよ。 そもそも、子どもたちも自分でなんでもできる年齢だろ? 子連れが大変だなんだって大げさなんだよ」と続けます。
しかしこの無責任な逆ギレが、親族たちの堪忍袋の緒を切りました。
「いい加減にしなさいよ!」と、横から飛び出してきた義姉が、夫の頬に強烈なビンタを浴びせました。お酒は地面にこぼれ、夫は呆然としています。義姉はさらに「あんたが一人で楽しんでいる間、奥さんがどんな思いで子ども2人を抱えて、迷子になるかもしれないって恐怖と、迷子にさせちゃいけないって緊張と戦ってたと思ってるの!?」と、ものすごい剣幕で詰め寄り、義父母も「父親としての自覚がなさすぎる!」と非難。逃げ場を失い、ようやく事の重大さを悟った夫は、ようやく「俺が悪かった。ごめん……」と弱弱しく謝罪したのでした。
その場で子どもたちには「パパのしたことは、家族を大切にしない、人としてダメなことだよ。あまりにひどかったからお姉ちゃんがパチンとしたけど、悪いことしたから叩いていいわけではないからね」と念のため義姉のビンタについて説明すると、安心したように笑顔になり「じゃあパパが迷子にならないように手をつながないとね!」と言う娘たち。義姉も義妹もそれぞれに子どもたちをフォローします。そして「反省の気持ちは行動で示しなさい」との義父の言葉を受け、その後の夫は自粛モードに。酒を断ち、片時も娘たちの手を離さず、必死に父親としての責務を果たそうとしていました。
ひとりの自分勝手な行動が、楽しいはずの旅行を台無しにしてしまった今回の出来事。楽しみ方は人それぞれだとは思いますが、団体行動をするときには協調性も重要だと感じました。和を乱すことでどれだけ周囲に迷惑をかけてしまうか、幼い娘たちも夫を反面教師として学んでくれたと思います。今度また夫が勝手な単独行動をしようとしていたら、今回のことを思い出してもらって、子どもたちのいいお手本となるよう振る舞いには気をつけてもらおうと思った出来事でした。
著者:田村ゆい/30代・ライター。おしゃまな6歳とマイペースな4歳の姉妹を育てる母。夫が単身赴任中のため、毎日ワンオペで奮闘中。賑やかな娘たちと慌ただしい毎日を過ごしている。
作画:ryo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年12月)