父が危篤なのに…夫「俺には関係ない」
ある日、病院から電話が入りました。父が危篤だというのです。私は急いで実家へ向かい、病室で父の手を握っていました。胸の奥が冷たくなるような不安でいっぱいで、家のことまで頭が回りません。
そのとき、夫から連絡が来ました。第一声は父の容体でも私の心配でもなく、「飯の準備は?」。私は「今日は帰れないと伝えたよね。父が危篤だから」と説明しました。今だけは家事を後回しにさせてほしい——そう願うように言ったのに、返ってきたのは信じられない言葉でした。
「それはお前の都合だろ。俺には関係ない」——頭が真っ白になりました。私は思わず、義母が亡くなる前、私が仕事を調整してまで病院に通い、付きっきりで支えたことを伝えました。けれど夫は、淡々と、当たり前のように言ったのです。
「あれは“嫁で専業主婦”のお前の仕事だから」私は、これまで懸命にやってきたことは何だったのかと、愕然としました。
「どっちが大事かわかるだろ?」迫られた選択
夫はさらに、「夕食くらい準備しておくのが専業主婦だろ」と責め立てました。私は、今日は自分で用意してほしい、父のそばを離れたくない——そう伝えたのに、夫は嫌そうにこう言いました。
「親は先に亡くなる。でも俺との結婚生活は続く。どっちが大切かわかるだろ?」その瞬間、胸が締めつけられました。父の最期に寄り添うことと、夫の機嫌を取ることを天秤にかけろと? 私が何も言えずにいると、夫は冷たく言い放ちました。
「離婚かな」——そんなときに。こんな状況で……。私は涙をこらえながら「今日は帰りません」と告げ、病室へ戻りました。
夫の関心が「父の遺産」へ移っていき…
父はその後、帰らぬ人となりました。葬儀を終え、実家の片付けに追われる日々。しばらくして夫の口から出たのは、父の遺産のことでした。「遺産って全部お前に入るよな? いつ入る? いくら?」
私は、今はそんなことを考えたくありませんでした。けれど夫は、「大金が入るんだから楽しもう」「旅行しよう」「実家は売れば?」と、こちらの気持ちを置き去りにして言葉を重ねてきます。
そして、遺産が手続き上、私のもとに入ったころ。夫は突然、車を買うと言い出しました。「遺産入ったんだろ? それくらい買っていいじゃん」私は「勝手に決めないで」と止めました。遺産は父が私に残してくれたもの。夫婦だからといって、何でも“共有”になるわけじゃない。けれど夫は当然のように言いました。
「お前の遺産は俺のもの。離婚される前に素直に金を渡せ。俺に捨てられたら終わりだぞ」私は背筋が凍りました。お金が入った途端、夫の“本音”が露骨に出てきた気がしたのです。さらに夫は、いつものように「口答えするなら離婚だな」と脅し始めました。
離婚届を出したと告げたら…形勢逆転!?
父が危篤のときも、離婚をちらつかせて私を従わせようとした。私はやっと気づきました。夫は私を“パートナー”として見ていない。家事要員、都合のいい存在として扱っている——と。
翌日、夫が「冷静になったか?」と上から言ってきたとき、私は淡々と返しました。「もう離婚したよ。離婚届、提出してきた」夫は「勝手に出すな!」と怒鳴りました。でも、遺産を渡さないなら離婚すると言い、記入済みの離婚届を渡してきたのは夫です。
その後の話は弁護士に任せることにして、私は家を出ることに。夫は最後まで、「遺産の半分はもらう」と言っていました。なので私は、弁護士から聞いたことをそのまま伝えました。「遺産は夫婦の共有財産にはならない。生活費などで混ざってしまえば別の論点も出るけれど、少なくとも今回、私たちは遺産をまだ使っていない」
謝罪する夫—けれど、もう遅く…その後
すると夫の顔色が変わりました。すでに大きな買い物をしてしまったらしく、焦り始めたのです。でも、それは私の責任ではありません。遺産が手に入らないとわかった途端、夫は急に謝り始めました。
「忙しくてイライラしてた」「感謝してた」「やり直そう」——けれど、その言葉は私の胸に届きませんでした。「遺産がもらえなくなった瞬間に手のひら返しって、滑稽だよ」私はそう告げました。
私は夫と暮らしていた家を出て、しばらくはウィークリーマンションで生活しました。財産分与の手続きは弁護士に任せ、元夫とは会っていません。連絡は何度も来ましたが、ブロックして遮断しました。
その後、元夫は散財した支払いで貯金をほとんど失い、さらに義父の介護が必要になって実家へ戻ったと聞きました。義母のときもそうでしたが、彼は義実家のことも全部私に押しつけていたので、義父には申し訳ない気持ちもあります。でも、介護が始まる前に離婚できたことに、私は正直ほっとしています。
今は新居に引っ越し、再就職も決まりました。実家に住むことも考えましたが、元夫が場所を知っているためやめました。これからどうするか考えていくつもりです。そして、天国の両親が心配しないように、私なりの幸せをたくさん見つけていきたいと思います。
◇ ◇ ◇
大切な家族を失った直後は、心も体も大きく揺さぶられますよね。もし「離婚」や「お金」を盾にして支配しようとする言動が続くなら、それは“話し合い”ではなく“脅し”です。ひとりで抱え込まず、信頼できる人や専門家に相談しながら、自分の安全と心を守る選択をしていきたいですね。
【取材時期:2026年1月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。