なぜ冷凍肉の常温解凍を避けるべきか?
最初に結論から言うと、冷凍したお肉は室温放置での解凍を避け、冷蔵庫・電子レンジ・流水を用いることが推奨されています。
その理由を詳しく見ていきましょう。
外側と内側の温度差が生じるリスク

冷凍肉を室温に置くと、外側から先に解凍が進み、表面が先にゆるみやすい状態になります。
中心はまだ凍っているのに、表面だけが先に温まる状態、いわゆる"温度ムラ"がある状態になりやすいんですね。
このように解凍中に“表面が温まりやすい時間”が長くなるほど、条件によっては細菌が増えやすくなるため注意が必要です。
食中毒菌が増えやすい温度帯
食中毒菌は、冷たいほど増えにくく、人の体温に近い温度で増えやすい性質があります。
多くの細菌は5〜45℃で増殖しやすく、例えば、O157やO111などの場合は、7℃から8℃ぐらいから増殖し始め、35℃から40℃で最も増殖が活発になります。
つまり、暖房の効いた冬のキッチンや夏場など、“室温が高め”の環境は、常温解凍のリスクが上がりやすいんです。
「短時間なら大丈夫」と思いがち…でも、増え方は想像以上なことも
「ちょっと置いただけだし平気かな」と思っても、細菌は条件が合うと増えてしまいます。
厚生労働省の資料でも、例として腸管出血性大腸菌O157は室温でも15〜20分で2倍になることがある、と紹介されています。
忙しい日は特に、気づいたら数時間……となりやすいので、できるだけ“室温に置く時間”を作らないのが安心なのです。
「火を通せば大丈夫」ではない理由
「火を通せば大丈夫なんじゃないの?」と思いがちですが、実はここが誤解されやすいポイントの一つ。
たしかに、加熱で多くの食中毒菌は死滅しますが、注意したいのが菌が増える過程で作る毒素なのです。
例えば、黄色ブドウ球菌は、食品中で増殖するとエンテロトキシン(毒素)を産生し、これが原因で食中毒を起こします。
この毒素は耐熱性とされ、加熱してもリスクが残る場合があるため、「火を通せば100%安心」とは言い切れないのです。
つまり、加熱を盲信しすぎると、「しっかり焼いたのに、なぜかおなかを壊した……!」といったケースの原因になることもあるのです。
常温解凍リスクが特に高い肉の種類
すべての肉で注意が必要ですが、特に要注意なのは以下の2つです。
鶏肉:鮮度が良くても“菌がいない”とは限らない

鶏肉は、カンピロバクターなどの食中毒でよく名前が挙がる食材です。
厚生労働省のQ&Aでも、健康な家きんが菌を持っていることがあるため、鶏肉から検出されることがある、とされています。
「新鮮だから大丈夫」ではなく、生食・加熱不足を避けるのが基本です。
ひき肉:加工の性質上“中まで菌が入り込みやすい”

ひき肉は、加工の工程で表面の菌が中まで入り込みやすいのが特徴。
厚生労働省でも、ひき肉は中心部まで病原体が入ってしまう旨が示されています。
ハンバーグなどは“表面の焼きめ”にだまされやすいので、中心までしっかり加熱が鉄則ですよ。
冷凍肉の正しい解凍方法【常温解凍を避けるために】
安全を考えるなら、基本は低温・短時間で解凍するのがベストです。
① 冷蔵庫解凍(菌が増えにくい温度で解凍できる)

前日〜半日前に冷蔵庫へ移す方法は、温度が上がりにくく、菌が増えにくい解凍方法です。
「明日使う分を寝る前に冷蔵庫へ」が、いちばんラクで安全。
② 流水解凍(急ぐとき)

急ぎたい日は、肉を密閉袋に入れて流水で解凍します。
室温放置より短時間で済みやすく、表面温度が上がりにくいのがポイント。
③ 凍ったまま調理

煮物・スープ・炒め物などは、凍ったまま使えることもあります。
ただし、厚みのある肉は火が通りにくいので、中心まで加熱できる料理を選ぶのが安心です。
④電子レンジ解凍

レンジ解凍は便利ですが、加熱ムラが出やすいのが弱点。
解凍モードや低出力で“半解凍”くらいにして、そのまま放置せず、すぐ調理が基本です。
解凍したお肉は早く食べ切るように
解凍後はできるだけ早く調理し、いったん解凍した肉を長時間放置したり、何度も冷凍・解凍を繰り返したりしないようにしましょう。
冷凍肉の常温解凍は避ける!リスクを減らしおいしく調理へ

冷凍肉の常温解凍は、表面温度が上がりやすく、条件によっては菌が増えやすくなるため注意が必要です。
「火を通せばOK」と考えるより、解凍も調理の一部。
冷蔵庫・流水・レンジを上手に使って、家族の体調を守っていきましょう。