唯一食べられる「オレンジ」を夫に頼んだら…
結婚2年目、念願の第一子を授かった私。しかし凄まじい“吐きづわり”に襲われ、水すら受け付けない日々が続きました。数日間ほとんど何も食べられず、体重はみるみる減少。そんな中で唯一「これなら食べられる!」と体が求めたのが、オレンジでした。
ただ、夫の出張中に買い置きのオレンジが切れてしまったのですが、買い物にも行けず……うどんなら大丈夫かと用意してみてもやっぱりどうしても受け付けません。
今日こそ何か食べないとと、私は出張帰りの夫にLINEを送りました。
つわりがひどくて何も食べられなくて…
オレンジなら何とか食べられそう
帰りに買ってきてくれないかな?
夫からは「OK!任せて」の頼もしい返事。私はその言葉を信じて、夫の帰りを待っていました。
「は?これだけ?」夫が差し出した衝撃の代用品
夜、帰宅した夫。しかし、手にオレンジの袋はありませんでした。
「オレンジは?」
「あー、1個200円もしたんだよ。高すぎだろ」
「それにさ、俺、オレンジの皮剥けないんだよね。カットフルーツもあったけど、グラム単価で見ると明らかに割高だし」
そう言いながら夫が取り出したのは……100%オレンジジュースの小パック。125mlの、あの小さなやつです。
「だからこれ買ってきた。オレンジの栄養は同じだろ?」
数日間何も食べられず苦しんでいた私に、夫が持ち帰ったのはたった125mlの小パックジュース。その小さなパックを見つめた瞬間、私の視界がグラリと揺れました。
限界を迎えた体、そして義母の怒り
「あ……」
力が抜けて、私はその場に崩れ落ちました。数日間ほとんど何も食べていなかった体が、完全に限界を迎えたのです。パニックになった夫は、近所に住む義母に電話。数分後、駆けつけた義母は私を介抱しながら夫に尋ねました。
「何があったの!? この子、何日も食べてないって顔してるじゃない!」
「いや、オレンジが欲しいって言うから」と、夫がテーブルの小パックジュースを指差すと、義母の顔色が変わりました。
「え、これオレンジジュースだけど?……これだけ?数日間苦しんでる妊婦に、これだけ!?」
「オレンジ1個200円もして高かったし、皮も剥けないし……」
義母の怒りが爆発しました。
「あんた、父親になるのよ!?妻とお腹の赤ちゃんが栄養を必要としてる時に、100円、200円をケチったの!?グラム単価より命でしょ!!」
「今すぐカットオレンジを買い占めてきなさい! 皮が剥けないなら剥いてあるのを買えばいいでしょ!割高?妻と子どもの命より高いものなんてないのよ!」
夫は「ごめんなさい!」と頭を下げ、車で飛び出していきました。
夫が買い物に出ているあいだ、義母からは「私も気が利かなくてごめんなさい。これからは気軽になんでも言ってね」との謝罪が。私ももっと周りに頼ればよかったと反省しました。
30分後、両手いっぱいにカットオレンジを抱えて帰ってきた夫は、涙目で「本当にごめん……」と謝りました。
それから夫は変わりました。毎日カットオレンジを買い、不器用ながらオレンジの皮むきを練習する姿も見せてくれました。
つわりが落ち着いた後、夫はこう言いました。「あの時、母さんに怒られて本当に良かった。父親になるってことが全然わかってなかった」
あの日の小パックジュースは、夫が本当の父親になるためのきっかけだったのかもしれません。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。