配属初日、違和感のある指導
初日、直属の女性上司が部署を案内してくれました。先輩方は穏やかそうな方ばかりでしたが、その上司が話し始めると、なぜか空気が重くなるのを感じました。
顔合わせが終わると、すぐに指導が始まりました。
「あなたの教育係は私。指示するから、きちんとメモを取って。毎日しっかりやってね」
私は元気に返事をしましたが、その後に告げられた内容に戸惑いを覚えました。私に任されたのは、部署全員のデスクを水拭きし、ゴミを回収すること。さらに、観葉植物の葉を毎日一枚ずつ丁寧に拭き、出社している全員分の飲み物を用意することも含まれていました。加えて、必要に応じて書類のコピーを取り、昼前には上司の昼食を買いに行き、午後は来客や上司のためにお茶を出すのが私の役割だと説明されたのです。
正直に言えば、「これが新人の通常業務なのだろうか」と疑問を抱きながらも、私は黙ってメモを取りました。
1カ月続いた“雑用”の日々
指示された作業はその後も続きました。1カ月以上たっても、実務に関する指導は一切ありません。他の先輩方も気にかけてくださっている様子でしたが、上司の機嫌を損ねることを恐れているのか、声をかけづらそうにしていました。
私は家族に相談することもできました。しかし、それでは自分の力で働く意味がなくなる気がして、まずは自分で向き合うことにしました。
ある日、勇気を出して上司に尋ねました。
「実務について教えていただけるのは、いつごろになりますか?」
すると返ってきたのは、「新人が一人前の仕事を望むなんて早すぎる。今は繁忙期。教育に時間は割けないの。雑用をしていればいいのよ」という冷たい言葉でした。
耳にしてしまった本音
それでも耐えようと決めた矢先、偶然、「自分から仕事を教えてほしいなんて生意気。雑用だけさせておけば、そのうち辞めるでしょ」という上司の本音を耳にしてしまいました。
さらに、別部署の先輩がそっと「私も以前、同じような扱いを受けました。異動で離れましたが、声を上げにくい雰囲気があって……」という話を教えてくれました。
過去にも似た事例があったことを知り、私は状況を冷静に整理しました。
あえて“見える形”にした理由
私は感情的に訴えるのではなく、事実を示す方法を選びました。翌日、いつも室内でおこなっていた観葉植物の手入れを、あえて廊下でおこない、コピーする書類を整理していました。すると上司が慌てて近づいてきました。
「そんなところでやらないで。誤解されるでしょう」
そのとき、ちょうど副社長である兄が通りかかり、「仕事は順調か?」と声をかけられました。私はあくまで冷静に、教育係の指示であること、実務に関わる機会がないことを説明しました。
兄は私の立場ではなく、組織の問題として受け止めたようでした。
明らかになった組織の課題
その後、社内でヒアリングがおこなわれました。特定の個人を責めるというよりも、部署の運営や指導体制に問題がなかったかを確認するためのものでした。
結果として、過去にも新人が短期間で退職や異動を希望していたことが判明。指導方法やコミュニケーションのあり方について、見直しがおこなわれることになりました。当該上司はその後、自ら退職を申し出たと聞いています。
現在は、教育体制が整備され、相談窓口も明確になりました。新しい上司のもとで、私はようやく本格的な業務を任せてもらえるようになりました。
あのとき、感情的に対立するのではなく、事実を示す形で行動したことが、結果的に職場環境の改善につながったのだと思います。今は忙しくも充実した日々を過ごしています。
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新人に実務を与えず、退職を促すような扱いをすることは、職場環境として大きな問題です。感情的な告発ではなく、指示内容を可視化することで状況を整理した点が印象的でしたね。結果として組織全体の課題が見直され、より働きやすい環境づくりへとつながったようでよかったです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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