義父のヒヤッとした話
用事を終えて私が義実家に戻ると、二人はすでに帰宅していました。娘はいつも通り機嫌よく遊んでいましたが、義父は明らかに元気がなく、ひどく落ち込んだ様子で座り込んでいました。
すると、私の顔を見るなり、義父がポツリとこぼしたのです。
「……もう、娘ちゃんとは二人で出かけられない」
私が「え!? どうして……何があったんですか?」と驚いて聞き返すと、義父は震える声で話し始めました。
「実は、さっき本当にヒヤッとしたことがあってね……」
それは、一歩間違えれば大変なことになっていたかもしれない、肝を冷やすような出来事でした。
ゲームセンターで娘が歩き回るのを、義父は後ろから見守っていたそうです。しかし、両替をしようとほんの数秒だけ娘から目を離し、両替機に1,000円札を入れたときのこと……。
娘が何かを口に入れている!?
義父が両替を終えて振り返ると、娘がすぐ近くのUFOキャッチャーの前に座り込んでいたのだとか。景品取り出し口に手を突っ込んでいたので、義父が慌てて駆け寄ると、娘は何かを口に含んだまま、ニコニコと得意げに口の中を見せてきたそうです。
「何食べてるんだ!」と驚いて口の中をのぞき込むと、そこには小さな宝石のようなおもちゃが1つ入っていたとのこと。
前の客が取り忘れたのか、取り出し口に残っていたプラスチックのおもちゃ。それを娘は口に入れてしまっていたのです。
喉に詰まってはいけないと慌てた義父は、急いで娘の口の中に指を入れて、そのおもちゃを取り出したそうです。当の娘は何が起きたのか分からず、きょとんとしていたようでした。
あんなにうれしそうに出かけていった義父でしたが、この一件以来、窒息の危険があったことを深く反省したようです。二度と娘と二人きりで出かけたいと言うことはなくなったのでした。「何かあったらと思うと、怖くて……」と肩を落とす義父を見て、私自身も「一瞬の隙」の怖さを改めて思い知らされました。
義父は今でも孫を溺愛してくれています。二人きりの散歩はなくなりましたが、これからも安全な場所で、できる限り娘を会わせてあげたいと思っています。
◇ ◇ ◇
お義父さんの「孫を喜ばせたい」という気持ちに共感する一方で、一歩間違えれば重大な事故につながりかねなかったと思うと、本当にヒヤリとする出来事でしたね。
今回のように、お子さんが口に物を入れたのを見て慌てて指を突っ込んでしまいがちですが、実はこれには注意が必要です。無理にかき出そうとすると、かえって異物を奥に押し込み、窒息を招く恐れがあります。確実につまみ出せる場合を除き、まずは落ち着いて状況を確認しましょう。
また、自宅と違い、外出先には大人が思いもよらない場所に誤飲の危険が潜んでいます。両替や会計などの一瞬の隙に、お子さんは動いてしまうもの。「公共の場には何が落ちているかわからない」という意識を持ち、短時間でも目を離さないことが大切です。
もしお子さんが喉に物を詰まらせてしまったら、すぐに119番通報をし、以下の応急処置をおこなってください。
<意識がない、呼吸がない場合>
心肺蘇生(気道確保・胸骨圧迫)をおこないます。
※母子健康手帳に方法が記載されています。もしものときのために、日ごろから手順を把握しておくと安心です。
<1歳以上の子どもの場合>
腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法・ハイムリック法)をおこないます。
①子どもの背中側から救護者の両手を回す
②みぞおちの前で両手を組み、勢い良く両手を絞ってぎゅっと押す
<1歳未満の乳児の場合>
①救護者が膝を曲げ(もしくは椅子に座り)、太ももの上に子どもをうつ伏せに抱きあげる
②子どもの背中の、肩甲骨の間のあたりを手のひらで5~6回強く叩き、詰まった食品を吐き出させる(背部叩打法)
それでも窒息が解除できない場合や意識がない場合には……
③子どもをあお向けに寝かせ、心肺蘇生と同じように、左右の乳頭を結んだ線の中央で、少し足側を指2本で押す
※直径39mm以下(トイレットペーパーの芯を通る物)は誤飲するおそれがあるため、赤ちゃんや小さな子どもに渡さない、手の届くところに置かないということも心がけましょう。
監修:関根直子(助産師)
著者:西本明美/30代女性。2018年生まれの一人娘がいる。義実家とは仲の良い関係でいるように日々努力している。飲食店のバイトをしていたが、店舗が閉店してしまい現在は求職中。趣味はいろんなコーヒーを試飲すること。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年3月)
※AI生成画像を使用しています