昇進とともに変わった彼
待ち合わせ場所へ向かう足取りは、自然と軽くなっていました。「もしかしてプロポーズかもしれない」そんな期待があったからです。
ところが彼の口から出たのは、「課長に昇進することになった」という報告でした。もちろん喜ばしいことですし、その日は素直に祝福しました。
しかし、その後から彼の様子は目に見えて変わっていきました。仕事が忙しいと言って会う時間は減り、電話をしても「用件は? 急いでいるからまた後で」と短く切られることが増えました。
誕生日が近づいても具体的な話はなく、不安が募っていきました。心配になった私は、彼と同じ部署に勤める共通の男友だちに様子を尋ねました。すると、「最近は休日出勤も増えているし、周囲にかなり厳しくなっている」とのこと。合理性や効率を強く求めるあまり、言葉がきつくなっている場面もあったようです。
学生時代から効率重視の性格ではありましたが、昇進後はさらに拍車がかかっている様子でした。
誕生日直前の衝撃
誕生日の前日、彼から突然連絡があり、急きょ会うことになりました。少しはお祝いしてくれるのかもしれない——そう思った私に、彼は開口一番、分刻みで組まれた「当日のタイムスケジュール」を見せてきました。
食事中も彼はスマートフォンを手放さず、仕事の連絡を優先。忙しいのだと理解しようとしましたが、目の前にいる私への配慮はほとんど感じられませんでした。積もり積もった思いがあふれていた矢先、彼は信じられない言葉を口にしたのです。
「将来を合理的に考えたい。自分は嫁は20代がいいと思っている」
そう一方的に告げられ、話し合う余地もないまま電話は切れました。10年という時間を共にしてきた相手からの言葉とは思えず、私はしばらく深い喪失感の中にいました。
失った時間と、得たもの
別れた直後は、人を信じることが怖くなりました。それでも仕事に打ち込み、Webデザインのスキルを磨き続けました。やがて独立し、少しずつ実績も積み上がり、母校から講演の依頼をいただくまでになりました。
講演当日、キャンパスを歩いていると、偶然にも元彼と5年ぶりに再会しました。以前よりやつれた印象で、彼は「いろいろとうまくいかなかった」と近況を語りました。
仕事での人間関係に悩み、環境を変えたこともあったようです。そして最後に、「やり直せないか」と言われました。
私が選んだ答え
けれど、私の答えは決まっていました。
「過去には戻れないよ」と伝え、左手の指輪を見せました。今の夫は、あのとき私の話を黙って聞き、励ましてくれた共通の友人です。誠実で思いやりのある彼と、自然な流れで交際が始まりました。
後日、夫も静かに「あなたがつらいとき、支えたいと思った」と言ってくれました。
その言葉に、私は救われたのです。
それぞれの現在
あれから数年がたちました。夫は管理職として忙しく働きながらも、家事や育児を積極的に担ってくれています。娘もすくすく成長し、私はWebデザイナーとして仕事を続けています。
元彼のその後について詳しいことは知りません。ただ、あの別れがあったからこそ、私は自分の力で立ち、自分を大切にしてくれる人を選ぶことができたのだと思っています。
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昇進や環境の変化は、人の言動に少なからず影響を与えることも。大切なのは、その立場の中でどのように周囲と向き合うかでしょう。一時は深く傷つきましたが、自分の努力を続けたことで道が開け、新たな幸せをつかみました。つらい経験も、将来をより良いものにする糧になる——そんな前向きなメッセージが伝わってくるのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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