「もうくだらない理由で辞めないで。パチンコでの散財もいい加減にして」と釘を刺しましたが、夫は「はいはい、更年期?」と鼻で笑うばかりでした。
このときの私は、夫がどれほど不誠実な人間か、まだ知りませんでした。
義父の緊急搬送
仕事を紹介してから半年後、男手ひとつで夫を育て上げた義父に厄介な病気が見つかり、緊急入院することになりました。入院に際し一時的にお金が必要になるようで、仕送りをお願いしたいと連絡があったのです。
私は快く支払うつもりでいました。しかし、夫から出た言葉は耳を疑うもの。
「親父への仕送り、断っておいたから。だってさ、あの歳で手術なんてコスパ悪すぎだろ? どうせ先は長くないんだし、無駄だよ」「親父に渡すくらいならパチンコに使いたい」
そう言って笑う夫に対し、私は自分の貯金から費用を出すと提案しました。すると夫は、あろうことか「その金、俺にくれよ」と詰め寄ってきたのです。
親の命よりも自分を優先するその姿に、私は背筋が凍るような思いでした。
激怒する義父
翌日、義父から激しい怒りの連絡が入りました。「手術代を無駄金だと言ったそうだな!」と、受話器越しに怒声が響きます。
こともあろうに夫は、私が仕送りを断ったと伝えたようです。「嫁が散財するせいで出せるお金がない」「嫁が出し渋っている」と話していました。
私は冷静に事実を伝えました。「それを言ったのは私ではなく、あなたの息子です」
最初は信じなかった義父ですが、夫とのLINEのやり取りを見せると、ようやく事実を理解してくれました。
離婚宣言!
私は夫の嘘に呆れ果てました。もし将来、私が倒れたら……? この人は私の命すら『コスト』として計算し、笑顔で切り捨てるに違いありません。
そう確信した瞬間、夫への愛情は微塵も残らず消え去り、私は夫に離婚を申し出ました。
すると夫は急に態度を変え、私に泣きついてきました。わが家の稼ぎ頭である私から捨てられたら、夫はさぞかし困ることでしょう。
「パチンコも辞めるし家事もやるから、捨てないでくれ!」と夫は言いますが、私の心はすでに決まっていました。そもそも義父への態度が発端なのに、それに気付いていないことにもがっかりです。
「今さら遅い。それから、あなたの仕事のことだけど。社長には『もううちのことは気にしなくていい』って伝えてあるから」と、私は続けました。
夫の仕事は私のコネによるもの。夫の勤務態度は最悪で、度重なる遅刻やミスでクビ寸前だったのを、私の顔を立てて繋ぎ止めてもらっていた状態でした。
私の「もうお気遣いなく」という言葉が、会社にとって最後の決断材料となったのは言うまでもありません。夫は言葉を失っていました。
夫と義父のその後
私は専門家の助けを借りて正式に離婚を成立させました。最後まで泣きつく元夫を背に、私は迷わず家を出たのです。親の命を軽んじ、妻を悪者に仕立てて私腹を肥やそうとした報いです。
私という後ろ盾を失った彼は、その後ほどなくして解雇。助けてくれる人もおらず、家賃も払えなくなり、今はどうしているかわかりません。
一方で義父は、ソーシャルワーカーの力を借りて適切な治療を受けることができました。さらに、義父がかつて学費を支援したという弟が、兄の危機を聞きつけて支援を申し出てくれたそうです。
◇ ◇ ◇
「情けは人の為ならず」という言葉があるように、人に親切にすると巡り巡って自分に良い報いが返ってくるというのは本当なのかもしれませんね。
しかしその逆もまた然り。身近な人の窮地を「無駄」と切り捨てれば、自分がいざ困ったときに誰も助けてくれないでしょう。
助け合いの根底にあるのは、損得勘定ではなく、日々の思いやりや感謝の積み重ねかもしれません。いざというときに手を取り合えるような信頼関係を大切に育んでいきたいものですね。
【取材時期:2026年2月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。