妊婦健診で元カノと再会…開口一番のひと言
声のするほうを振り返ると、そこには数年前に別れた元カノの姿が。ふっくらとしたおなかや服装から、どうやら彼女も妊娠中のようでした。
「久しぶりー! 相変わらず地味な格好して……。生活感すごいね」
再会を喜ぶわけでもなく、彼女は開口一番、私の服装や持ち物をジロジロ見て、見下してきました。さらには「実は私、次期社長夫人なの! 夫の会社がすごくって〜。別れて正解だったかも〜」と、隣に私の妻がいるにも関わらず、得意げにマウント発言を連発し始めたのです。
おそらく、私から別れを切り出したことへの腹いせなのだろうと思いましたが……妻は困惑しており、私も適当に相槌を打ちながらやり過ごそうと考えていました。するとそこへ、席を外していたらしい元カノの夫が戻ってきました。
元カノの夫が、私に深々と頭を下げたワケは…
「お待たせ。……あっ!」 私と目が合った瞬間、元カノの夫はハッと息を飲みました。そして慌てて私に駆け寄ると、深々と頭を下げたのです。
「先日もお世話になりました!」
実は、私の勤める会社は彼の会社にとって“最大の取引先”。彼が父親の事業を継ぎ、次期社長になる予定であることも知っていました。私は、彼の会社に仕事を依頼しているプロジェクトの責任者だったのです。
まさかの出来事にポカンとする元カノ。しかし、状況が飲み込めない彼女は「ちょっと、こんな貧乏人に頭なんて下げないでよ!」と、なおも信じられない暴言を吐きました。
元カノの暴言に夫の顔が一変…次の瞬間
その瞬間、彼の顔がサーッと青ざめ、完全に凍りつきました。「失礼なことを言うな!」彼は声を荒げることはありませんでしたが、地を這うような低い声で元カノを制止しました。「……それ、人に言う言葉じゃない。君がそんな人間だと思わなかった」
普段の丁寧な彼からは想像もつかない冷たいトーンでした。周囲の妊婦さんたちの視線も一斉に集まり、事の重大さと自分の置かれた状況に気づいた元カノは真っ青に。
「ち、違うの! 冗談だし、昔のノリで言っちゃって……」と必死に取り繕おうとしますが、彼は「冗談に見えない」と淡々と突き放しました。
居たたまれなくなった元カノは「ちょっと外の空気吸ってくる……」と逃げるように席を外し、残された彼は私と妻に何度も平謝り。私は「奥さまの体調を最優先になさってくださいね」とだけ伝え、妻と共に呼ばれた診察室へ向かいました。
私は元カノに対してひと言も反撃していませんが、彼女が勝手に自滅していく姿を見て、心の中で密かにスカッとしたのでした。
◇ ◇ ◇
人を見た目や持ち物で判断し、優劣をつけるような言葉は、思わぬところで自分の評価を下げてしまうこともあります。周囲の状況や人間関係によっては、立場が思いがけず逆転してしまうこともあるかもしれません。
また、妊婦健診の待合室は、多くの妊婦さんやそのご家族が過ごす大切な空間。周囲への配慮や思いやりを忘れず、穏やかな気持ちで過ごしたいですね。
【取材時期:2026年3月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。