婚約者から届いた、少し気になるメッセージ
ある日、結婚準備で忙しいはずの長男の婚約者・A美さんから「お願いがあります」というメッセージが届きました。彼女にはこれまでに何度か会ったことがあり、明るく素直そうな印象を持っていました。
「できることなら協力しますよ」と返信すると、「海外風の式にしたいので、着物はご遠慮いただけますか。黒い着物は避けてほしくて」とのこと。黒留袖は格式ある礼装ですが、主役は2人です。私は快く了承し、「では白以外のロングドレスを選びますね」と伝えました。
すると返ってきたのは、「案外常識があるんですねー。お義母さんのことだから知らないかと思っていました」という一文。
冗談半分なのかもしれませんが、どこか引っかかるものがありました。それでも、長男が選んだ人です。きっと準備で忙しく、気持ちが不安定なのだろうと自分に言い聞かせました。
結婚式当日に漂う違和感
迎えた結婚式当日。新郎側の控室で親族と他愛のない会話をしていたのですが、長男の表情がどこか硬い様子。漂う違和感に「何かあったの?」と聞くと、「今朝、A美と少しもめてしまって……」と言葉を濁します。
それでも「何かあるなら今のうちに話しなさい」と私が言うと、長男はぽつりと「向こうの家は、学歴をとても重視する考え方なんだ」と話し始めました。
それ自体は価値観の一つです。しかし、手前みそですが長男は有名大学出身。学歴至上主義の方々が問題にするところはないはずなのに……と、どこか違和感を覚えました。
偶然聞こえてきた陰口
そのとき、隣の控室から楽しげな笑い声が聞こえてきました。扉が少し開いていて、中から会話が漏れ聞こえてきます。
「息子は立派なのに、お義母さんが高学歴じゃないのがちょっとね……」
それは、明らかに私のことでした。さらに、「朝ちょっと言い合いになったけど、泣いて謝ったら落ち着いた」と言うA美さんの声も耳に入ってきます。聞き違いであってほしいと思いましたが、胸が締めつけられるようでした。
そのとき、背後にいた長男が静かに扉を開けました。
息子が下した決断
「今の話が君の本音なんだね」と、低い声で言った長男。続けて「親族を見下すような人とは、結婚できない」とA美さんに告げます。
控室は静まり返りました。A美さんは必死に取り繕おうとしましたが、長男の意思は揺らぎません。
その様子を見て、私は息子が自分の価値観で判断できる大人になっていたことを知りました。
学歴よりも大切なもの
私は高い学歴があるわけではありませんが、学生寮でのパートを通して英語を身につけてきた過去があります。
それを知っている長男は「母は進学こそしなかったけど、現場で生きた英語を習得した。もともと頭の良い人なんだ。自分たち兄弟は4人とも希望の大学に行けたけれど、これも母さんが教育熱心だったおかげだよ」とA美さんに言います。
優しすぎて強くは言えない性格だと心配していた長男の言葉に、私は胸が熱くなりました。
結婚式は中止、そして新たな一歩
話し合いの末、結婚式は中止となりました。価値観の違いが大きかったことが理由です。後からわかった事実もいくつかありましたが、ここでは詳しく触れません。ただ、あのタイミングで大きな価値観の不一致に気付けたことは、不幸中の幸いだったと思っています。
長男は「しばらくは仕事に集中する」と前向きに歩み始めました。私はこれまで通り、学生寮での仕事を続けています。留学生たちとの日々は刺激的で、まだまだ学ぶことばかりです。
学歴や肩書きではなく、人としてどう生きてきたか。あの日、息子が示してくれたのは、その大切さでした。
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結婚は家と家のつながりでもあります。価値観の違いはあって当然ですが、互いへの敬意がなければ結婚は成り立ちません。
今回のケースでは、結婚式当日に大きな決断をすることになりましたが、長男の冷静な判断は見事でした。肩書きではなく人柄を見ることの大切さを改めて感じさせられる体験談です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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