「年間売上300万」の衝撃
新社長は就任早々、全社員の営業成績をリスト化し、効率の悪い人間を排除すると宣言しました。ある日、僕は社長室に呼び出され、いきなり成績表を叩きつけられたのです。
「君、やる気あるのか? 年間の売上がたったの300万。こんな数字、新入社員でももっと稼ぐぞ。うちの会社にご機嫌取りの給料泥棒はいらない。今日限りで異動だ!」
新社長は顔を真っ赤にして怒鳴り散らしていました。僕は冷静に「あの、社長。その数字、単位をよく見ていただけますか?」と何度も伝えましたが、彼はまったく聞く耳を持ちません。「言い訳は見苦しい!」と指を差されました。
僕は「……分かりました。そこまでおっしゃるなら、身を引きます」と告げ、静かに部屋を後にしました。
単位の違いを知らない新社長
僕がデスクに戻り、私物を整理し始めると、周囲の同僚たちがざわつき始めました。事情を知った同僚たちは顔色を変え、すぐさま新社長のもとへ駆け込んだのです。
実は、僕が担当しているのは北米や欧州のビッグプロジェクト。成績表に記載されていた「300万」という数字は、日本円ではなく「ドル(USD)」だったのです。当時のレートで換算すれば、年間約4.5億円以上の売上。僕はこの支社でダントツのトップ営業でした。
事の重大さに気づいた同僚の一人が、「社長、彼はドル建てで取引してるんですよ! 300万ドルですよ!?」と叫びましたが、新社長は「えっ、ドル……?」と呆然。
しかし大騒ぎしてしまった手前、今さら発言を取り消すのもプライドが許さなかったのか、「そ、そんなことは分かってる……。それでも売り上げが足りないって話だよ!」と難癖をつけ、僕の異動を取り消すことはありませんでした。
僕はこんな理不尽な異動を受け入れるくらいなら、と退職を依願。
すると、僕が辞めると知った海外担当チームの同僚たちが、次々と立ち上がりました。
「彼がいなくなれば、海外のクライアントとの信頼関係は終わりです。私たちもこんな無能な経営者の下では働けません!」
全員で突きつけた退職届
事態はそれだけでは収まりませんでした。僕を慕ってくれていた同僚や、現場を支えてきた女性社員たちが、一斉に退職を申し出たのです。
「私も辞めます」「僕もです」
新社長のあまりに短絡的で現場を見ない姿勢に、社員たちの不満は限界に達していました。デスクには次々と「退職届」が積み上げられ、新社長は「待ってくれ!あれは冗談だ、異動は取り消す!」と必死に引き止めにかかりましたが、もう手遅れです。
「うちの会社は、もうおしまいですね」
最後にそう言い残し、僕たちはオフィスを後にしました。その後、主要な営業マンを失った会社は、海外クライアントとの契約が次々と打ち切られ、経営難に陥ったと風の噂で聞きました。
一方、僕は信頼していた同僚数名と共に、新しい会社を立ち上げることに。かつてのクライアントたちも「君がやるなら」と付いてきてくれ、以前よりも風通しの良い環境で、元気に世界を相手に飛び回っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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