最初は「寂しいのだろう」と思い、私もできるだけやさしく接するようにしていました。しかし、だんだん様子が変わってきました。
夫が勝手に合鍵を渡してしまい、私がいない時間にも無断で出入りするようになったのです。
止まらないおせっかい
ある日、仕事から帰ると、キッチンがきれいに片付いていました。
「え?」と思っていると、義母が笑顔で「おかえり~家が散らかってたから、掃除しておいたわよ!」言いました。
それだけではありません。洗濯や食事の準備、冷蔵庫の中の整理まで手を入れていたのです。いったい何時間うちにいたのか……いろんなものを勝手に触られるのは、やはり不快です。
私は「お義母さん、気持ちはうれしいんですけど、自分でできるので大丈夫ですよ」とやんわり伝えましたが、義母は「遠慮しなくていいのよ~! あなた、妊娠中だし仕事もしていて忙しいでしょ!」と聞く耳を持ってくれません。
夫に相談しても、「母さんも一人で寂しいんだよ。家事をやってくれるんだから助かるだろ?」と、分かってもらえませんでした。
さらに、違和感はそれだけでは終わりませんでした。
寝室の引き出しが開けられた形跡があり、私の私物の位置が明らかに変わっていたのです。日記帳や書類まで動かされていて、中身を見られたのではないかという不安が胸に広がりました。
そして、もうひとつ。どれを買おうか楽しみにしていた育児グッズまで、すでに用意されていたのです。寝室にまで入られていたこと。そして、自分で選びたかったものまで先回りされていたこと。そのどちらもが、ただただ悲しくてたまりませんでした。
夫が「産後は母さんが来てもらう」宣言
そんなある日、夫が「産後は母さんに来てもらおうと思ってる。その方が俺もお前も助かるだろ?」と言いました。
「勝手に決めないで。まだ何も話し合ってないよね?」
私は、産後は体もしんどいし、慣れない育児もあるのに、気を使う状態で過ごすのは正直きついということ、悪気が無くても勝手に家に出入りされるのは嫌だとしっかり伝えました。
夫は少し不機嫌そうに、「手伝ってくれるんだから、別にいいだろ」とだけ言い、それ以上は話になりませんでした。
やがて出産の時期を迎え、私は入院。無事に出産しました。
そして退院の日、荷物も多く、「迎えに来てくれる?」と夫に連絡を入れると、「ごめん、母さんの引っ越しの手伝いしてて……少し遅れる」と返事が返ってきました。
その言葉を聞いた瞬間、悲しい気持ちが押し寄せました。
私の決断
結局、タクシーに乗って自宅に戻ると、義母がエプロン姿で立っていました。
「おかえり〜。ごはん作ってるところよ」
一瞬、何が起きているのか分かりませんでした。
部屋の中を見ると、義母の荷物がいくつも置かれていました。聞けば、私の入院中から夫が義母に来てもらい、そのまま家に出入りしていたのだといいます。
義母は「しばらく手伝ってあげるから♪」と言います。夫は「母さん、しばらくここに住んでもらうわ」と言い、以前伝えた私の思いは全く伝わっていないのだと分かりました。
その日の夜、私は夫に「勝手に決めないでって言ったよね?」「このままじゃ、私はここで安心して過ごせない。実家に帰るね」と伝えました。
夫は「母さんは手伝うつもりで……」と言いかけましたが、私は首を振り「そういう問題じゃない。私の気持ち、伝えたよね? それを無視して進められたことがつらい」と伝え、両親に迎えにきてもらい、子どもを連れて実家に帰りました。
家族の距離
それから数日後、夫から連絡が来ました。
「ちゃんと考えた。今まで本当に悪かった」
話を聞くと、義母とも改めて話し合いをしたそうです。
勝手に家に入るのはやめること、来るときは必ず連絡すること、そう約束をしたといいます。さらに、義母に渡していた合鍵も返してもらったとのことでした。
義母も、「やりすぎていたわね。ごめんなさい」と反省している様子だったと聞きました。
そして夫は、少し間を置いてこう言いました。
「お前の気持ちをちゃんと考えてなかった」「母さんのことばかり優先してた。本当に悪かった」と謝罪してくれたのです。
約1カ月後、私は自宅に戻ることにしました。以前のように義母が勝手に家に出入りすることがなくなり、落ち着いて生活できています。
家族であっても、相手の気持ちや境界線を尊重することは欠かせないのだと感じました。良かれと思った行動でも、伝え方や距離を間違えれば、相手を傷つけてしまうこともあります。だからこそ、きちんと話し合い、互いに納得できる関係を築くことが大切なのだと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。