「自分の妻が大変な時に何してるの!」
そんなある日、僕は不運にも階段から転落し、頭部を強打して左腕を骨折。そのまま緊急入院することになってしまいました。
妻はすぐに駆けつけてくれ、心配して義両親にも「夫が怪我をして入院したの」と連絡を入れてくれました。しかし、これが悲劇(?)の始まりでした。
数時間後、僕のスマホが何度も何度も、執拗に鳴り響きました。画面には義父の名前。痛みで意識が朦朧とする中、ようやく通話ボタンを押すと……。
「もしもし、お義父さん……」
「お前! 自分の妻が大変な時に何をしてるんだ!早く来なさい!」
電話の向こうからは、義母の「早く来なさいよ!」という金切り声も聞こえます。どうやら義両親は、妻からの「入院した」という言葉を、なぜか「娘(妻)が入院した」と勝手に変換して、僕が看病もせずに遊び歩いていると大きな勘違いをしているようでした。
「入院しているのは俺のほうですが……」
僕は痛みに耐えながら、必死に説明を試みました。
「……お義父さん、落ち着いてください。入院しているのは、俺のほうなんです。今、整形外科の病棟に……」
「なにを言ってる!娘が心細い思いをしているのに、嘘までついて言い訳するつもりか!いいか、今すぐ〇〇病院の待合室に来い!来ないなら承知しないぞ!」
義父は僕の言葉を最後まで聞かずに、一方的に電話を切ってしまいました。
幸い、妻も僕の付き添いで一緒にいたため、事情を話すと彼女の顔は怒りで真っ赤に。
「お父さんたち、何を言ってるの……。直接、現実を見せてやりましょう」と、車椅子を押して僕を義両親が待つ待合室へと連れて行ってくれました。
絶句し、震え出す義両親
「お義父さん、お義母さん、お待たせしました」と声をかけると、義両親は勝ち誇ったような顔で立ち上がりました。
「やっと来たか!遊び呆けて……って、えっ?」
車椅子に揺られ、頭に包帯を巻き、痛々しく左腕を吊った僕の姿を見た瞬間、義父の言葉が止まりました。義母も手に持っていたお見舞いの品を落としそうな勢いで固まっています。
そこへ妻が冷たい声で追い打ちをかけました。
「お父さん、お母さん。私、最初から『夫が入院した』って言ったよね? なんで勝手に私が病気だって決めつけて、怪我人を呼び出して怒鳴り散らしてるの?」
「い、いや……てっきり、お前が倒れたのかと……」
「人の話も聞かずに夫を罵倒するなんて最低。もう帰って!」
義両親は、車椅子で弱り切った僕と、般若のような顔をした妻を交互に見て、顔を真っ赤にしたり青くしたりと大忙し。最後は「す、すまん……」と消え入るような声で謝り、逃げるように病棟を去っていきました。
後日、義実家からは高級なお見舞いのフルーツが届きましたが、妻は「物で釣ろうなんて100年早いわ」と一蹴。
しばらくは義実家からの連絡をシャットアウトすることになりました。僕は静かな病室で、妻の優しさを噛み締めながら治療に専念しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。