もともと教育熱心だった元夫の希望で入園したのですが、離婚後も「お友だちと離れたくない」という娘の気持ちを尊重し、転園させずにそのまま通わせていたのです。
しかし、娘のためにと頑張る私に、思わぬ人間関係のトラブルが降りかかってきました。
私を見下すママ友たち
幼稚園のお迎えに行くと、いつもグループの中心にいるボスママ的な存在のママ友と、その取り巻きのママ友たちが、私を見るなりコソコソと耳打ちし始めました。
私がシングルマザーで、飲食店でパートをしていることを知って以来、彼女たちは私を「自分たちとは釣り合わない」と見下してくるようになったのです。
ある日、ボスママの娘がうちの娘と一緒に遊ぼうと駆け寄ってきました。するとボスママは慌てて間に入り、「パパのいないお家の子とは、遊んではダメよ? 変な影響が出たら困るでしょ」と言って、制止したのです。子どもの前でそんな言葉を平気で口にするなんて……。私はあまりのショックに、返す言葉が見つかりませんでした。
数日後、普段から親しくしてくれているママ友からこっそり連絡がありました。
「彼女たち、周りのママたちにも『あの子と遊ばせると悪影響だから距離を置いたほうがいい』って言いふらしているみたい。気をつけてね」
最近、一部のママたちがよそよそしくなったと感じていたのですが、原因は彼女たちの根回しだったのです。
親睦会の幹事を押しつけられた私
しばらくして、幼稚園のクラスの親睦会としてバーベキューが企画されました。すると、いつもは私に話しかけることのないボスママが……。
「あなたがパートしてる店、バーベキューできるって聞いたことあるわよ? ちょうどいいんじゃない? あなたが幹事やってよ」
そう言われた私は、ひとまずパート先の店長に相談しました。すると、食材の手配を手伝ってもらえることになり、会場も店が提携しているキャンプ場を割引で借りられることに。こうして、私は親睦会の幹事を引き受けることになったのです。
ところが、親睦会の数日前になり、親しいママ友から再び連絡がありました。
「ボスママが、『あの人(私)が仕切る会に参加する人は、今後の付き合いを考えさせてもらう』って、みんなにLINEで欠席するように圧力をかけてきてる……」
そのとき私は、私を除いたクラスのLINEグループが別に存在していたことを初めて知りました。親しいママ友が送ってくれたスクショを見ると、そのグループでは最近もやり取りが活発に行われていたのです。
親睦会での意地悪な計画
数日前の時点で、パート先の店長に事情を伝えて食材の量は多少調整できるようにしてもらい、参加予定の人たちにも改めて確認を取りました。それでもはっきりしない人が多く、私は「誰も来てくれなかったらどうしよう」と不安を抱えたまま当日を迎え、会場へ向かったのです。
しかし、集合時間になると、ボスママ一派を除くママたちと子どもたちが、次々に集まってくれました。
「彼女の言いなりになるのはおかしいから、みんなで来ちゃった!」と笑ってくれた、ほかのママ友たちのやさしさに、私は思わず涙が出そうになりました。そして実は、この日は事前に相談していたこともあり、園長先生があいさつのために少し立ち寄ってくれていました。
そうして和やかな雰囲気で親睦会がスタート。みんなで楽しくお肉を焼いていたとき、私のスマホに着信……ボスママからでした。周りがガヤガヤと騒がしく、ボスママの声がよく聞こえなかったため、私は音量を最大にして電話に出ました。
「ちょっと! 聞いてるの? 行けなくてごめんね〜。みんなも欠席でしょ? シンママが仕切る貧乏くさいバーベキューなんて、誰も行くわけないわよね〜。私たちはお洒落なグランピング施設で高級肉でバーベキューすることにしたの♡」
ボスママのあざ笑う声が響きました。しかし、その発言が、近くにいた園長先生の耳にも入ってしまい……。園長先生はその場では詳しく立ち入らず、あらためて事情を確認することになりました。
ボスママ、園長先生と面談!その後
翌日、園長先生はボスママ本人と個別に面談し、事実関係を確認。のちにボスママの自宅にも連絡を取ったそうです。複数の保護者から同様の相談が寄せられていたことも踏まえ、園長先生は、ボスママの言動が園の方針に反すると、注意したと聞きました。
ボスママの夫は世間体や体裁を非常に重んじる人だったようで、自身の妻が幼稚園でいじめのような振る舞いをし、あろうことか園長先生から直接指導を受けたことに激怒したそう。それをきっかけに、ボスママ夫婦は育児方針の違いなどで衝突し、離婚。ボスママは、ひとりで家を出て行くことになったと聞きました。
ボスママの娘は今も、私の娘と同じ園に通っています。周囲の雰囲気も落ち着き、私は穏やかな毎日を過ごせるようになりました。先日、娘に小学校受験についてどうしたいかと尋ねてみると、「お家の近くの小学校に行って、違うお友だちとも遊びたい!」と、元気いっぱいに答えてくれました。どこへ行っても自分らしく、分け隔てなくお友だちと付き合える娘が、とても頼もしく思えました。
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自分の価値観を他者に押しつけ、立場を利用して周囲を支配しようとする行為は、いつか必ず自分に返ってくるものです。家族構成や職業は、その人の人格や価値とはまったく関係がありません。どんな境遇の人に対しても敬意を持って接することが、豊かな人間関係の土台になるのではないでしょうか。偏見を持たず、周りの人たちと誠実に向き合う姿勢を大切にしていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。