両家顔合わせで嫌味を言う義両親に実父が放った言葉
結婚が決まり、両家の顔合わせを料亭で行った日の出来事です。本来は私たちが親を招待してご馳走するつもりだったのですが、両家から「お祝いだから親同士で折半しよう」とありがたい提案をもらいました。私たちは、そのご厚意に甘えても問題ないものだと思っていたのです。そのご厚意に甘え、私たちなりにお祝いの席にふさわしいお店を予約して、晴れやかな気持ちで当日を迎えました。
ところが、仲居さんが丁寧に料理を運び始めたその瞬間、空気が変わりました。彼の実家は地元で長く商売を営んでおり、生活に困っているような様子はまったくありませんでした。それだけに、次の言葉は予想外でした。
彼のお父さんが、品定めするように料理を一瞥してから、鼻で笑うようにこう言ったのです。
「若いのに随分と豪勢なものを頼んだね。親が払うと分かった途端、財布のひもが緩んだんじゃないの?身の丈って言葉、知ってる?」
そして少し間を置いてから、わざとらしく感心したように続けました。
「まあ、しっかりしてるというか……抜け目ないというか。逞しいね、若いのに」
褒めているような言葉なのに、どう聞いても褒めていない。テーブルの空気が静かに凍っていくのを感じました。彼のお母さんがすかさず畳み掛けます。
「これから新生活でお金がかかるっていうのに、最初からこんな見栄を張るなんて、金銭感覚を疑っちゃうわね。あなたたち非常識ねぇ……まったく」
そしてため息をつきながら、
「まあ、これから家族になるんだから……うまくやっていけるといいけど。なんだかあなたたちが一緒になるの、不安でため息がでちゃうわ」
せっかくのお祝いの席なのに……と悲しさと恥ずかしさが一気に押し寄せました。費用を出してもらう手前、私と彼は申し訳なさで完全に言葉を失い、ただ俯くことしかできません。
場の空気がサッと冷え切ったその時、私の父がしばらく黙って、ゆっくりと箸を置きました。
「……少し、よろしいですか」
「このお店は、2人が親を喜ばせたくて何日もかけて選んでくれた場所です。その気持ちを見栄だとおっしゃるなら、私は同意しかねます」
一拍置いて、表情をやわらかく崩しながら、
「せっかくのお祝いの席ですから、今日は皆で楽しみましょう」
彼のご両親は何も言い返せず、バツが悪そうに頷くしかありませんでした。それからは嫌味を言われることもなく、穏やかに食事が進んでいきました。ズバッと空気を変えてくれた父の対応を、この時ばかりは本当に心強く感じたのを覚えています。
顔合わせ自体は無事に終わったものの、帰り道で冷静になると、私たちにも配慮が足りなかったと気づかされました。父に庇ってもらって胸のすく思いだった一方で、親同士で費用を負担すると決まっていた以上、家ごとの金銭感覚の違いをもっと考慮すべきだったのです。「きっと喜んでくれるはず」と思い込まず、事前におおよその予算やお店の雰囲気を両家へしっかり共有しておくべきだったと深く反省しました。
後日、彼とこの出来事を振り返り、これからはお互いの家族の感覚を事前にすり合わせようと話し合いました。良かれと思ったことでも独りよがりにならないよう、まずは二人でしっかり相談し、両家への細やかな配慮を忘れないようにしていきたい——今はそう思っています。
著者:原田琴音/30代女性/2人の娘がいる。パートで働くワ―ママ。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2026年2月)