涼しくなり外で遊ぶのが楽しい季節になりました。最近では、2歳ごろから乗れるペダルなし二輪遊具を持っているおうちも多いのではないでしょうか。実はこのペダルなし二輪遊具での事故が多発していることを知っていましたか?
ペダルがなくブレーキもないため転倒の危険も
トレーニングバイク、ランニングバイクなどといった名前などでも呼ばれているペダルなし二輪遊具は、小さなころからバランス感覚が養えるということで人気の遊具。でも、ペダルがなくブレーキもないものがほとんどのため、思わぬ転倒等による事故が増えています。
消費者庁には、医療機関ネットワーク事業(※1)を通じて、ペダルなし二輪遊具に関する事故情報が平成22年12月から平成30年度末までに106件寄せられており、消費者庁や独立行政法人国民生活センターが注意を呼びかけたあとも、事故は増加傾向にあるそうです。
3歳児がもっとも多く、首から上の危害が8割
年齢別に見ると、3歳児が43件で全体の約4割と最も多く、それに続く2歳児と4歳児を含めると9割を超えています。危害の内容では、擦過傷(さっかしょう)・挫傷(ざしょう)・打撲傷が9割近くと圧倒的に多くなっていますが、骨折も6件ありました。
危害を受けた部位としては、顔が全体の2/3を占め、頭部と合わせると、首から上で約8割となっています。これは、4歳以下では頭部と顔の割合が高く、重心が頭部寄りにあり、頭から落ちやすいためと推測されます。受診した際の処置見込みを見ると、即日治療完了が約4割ですが、通院を必要とする事例が半数近く、また入院を必要とする事例も3件ありました。特に4歳以下では、年齢が低いほど即日治療完了の割合が低く、治療に時間を要したようでした。
事故発生場所は約半数が一般道路
事故の発生場所は、47.2%が一般道路で起こっており、そのうち36件は坂道で発生していました。公園内やその他の場所も含めると、半数以上がが坂道で発生していることがわかりました。
消費者庁では事故を防ぐアドバイスとして下記の6つを挙げています。
【事故を防ぐためのアドバイス】
1 道路で使用しない
この遊具は、ペダルがないため、道路交通法で定められた自転車には該当しません。歩行者や自転車との接触・衝突などの危険性があるばかりでなく、自動車との大きな事故につながることも考えられます。道路での使用は絶対にやめましょう。
2 坂道など危険な場所では絶対に使用しない
公園や広場であっても、坂道や傾斜のある場所での走行はやめましょう。予期せぬスピードが出るため、転倒する危険性が高まります。その他、段差や階段及びその近く、滑りやすくなっている場所、水辺など危険な場所では使用しないでください。取扱説明書や本体の注意表示をよく確認しておきましょう。
3 ヘルメットを着用する
転倒した場合の頭部への衝撃やケガを減らすために、幼児用ヘルメットを着用してください。さらにグローブやプロテクターなどの保護具も併用するとともに、裸足やサンダルでなく靴を履くようにしましょう。
4 子どもだけで遊ばない
必ず保護者が立ち合い、子どもから目を離さないようにしましょう。
5 使用する前に部品に緩みやがたつきなどがないか、確認しましょう
長期間使用しているうちにハンドルやシート、タイヤやホイールなどの部品の緩みが発生する場合もあります。走行中に部品が外れてしまうと、重大な事故につながります。充分チェックしましょう。
6 定期点検だけでなく、自転車として使用する際(※2)には、念のため販売店や自転車専門店に作業を依頼しましょう
定期的に点検して、常に安全に使用できるようにしましょう。特に、中古品を譲ってもらったり、年下のお子さんが久しぶりに使用するような場合には、充分に検査しましょう。また、ペダルとクランク、チェーンなどを取り付ける際にも、必要に応じて販売店や自転車専門店にて行うと安心です。
※1「医療機関ネットワーク事業」とは、参画する医療機関(令和元年6月時点で24機関が参画)から事故情報を収集し、再発防止にいかすことを目的とした消費者庁と独立行政法人国民生活センターとの共同事業。(平成22年12月運用開始)。ただし、医療機関数は変動している。件数は本件のために消費者庁が特別に精査したもの。ただし、ペダルなし二輪遊具のみを対象とし、ペダルなし三輪遊具は除く。
※2 ペダルとクランク、チェーンをつけて、自転車としても使えるペダルなし二輪遊具もある。
安全な場所で正しく使用すれば楽しい遊具も、使う場所と使い方を間違えると一大事に。お家にペダルなし二輪遊具をお持ちの人は、もう一度遊び方を確認してみましょう。
※参考:消費者庁「ペダルなし二輪遊具による子どもの事故に注意!」