先日、そんな姉から2年ぶりに連絡がありました。
「里帰り出産するから♡」
「私の部屋、きれいに掃除しておいてよね」
姉は、現在妊娠8カ月だそうで、一方的に里帰り出産をすると宣言してきたのです。
私たち家族の生活を変えた2年
「あんたまだ独身で実家にいるでしょ? 必要なもの後で連絡するから、ベビー用品とかもいろいろ準備お願い」と要求してきました。
一方的に自分の要求だけを言いつけてくる姉ですが、この2年の間に、私たち家族の生活は一変していました。相変わらず身勝手で、自分本位な姉にイライラしつつも、なんとか感情を抑え、私は、ある事実を告げました。
「実家? もうないよ?」
「え?」
姉は、私からの思いもよらぬ言葉に驚いている様子。数秒間沈黙した後、姉は「私にひと言の断りもなかった」と怒り出しました。しかし、妹を裏切り、家族の顔に泥を塗って家出し、音信不通になった姉に、どうやって連絡するというのでしょう。
当時、姉たちが起こした騒動の心労で、両親は体調を崩しました。近所でも噂されるようになってしまい、両親は現在、実家を手放し、別の街の小さな賃貸マンションでひっそりと暮らしています。私も転職と引っ越しをして、両親が暮らす隣の街でひとり暮らしをしているのです。
私たち家族は、姉のせいで慣れ親しんだ地元を離れ、思い入れのある実家を手放し、新天地で落ち着いた生活を送っていたのです。
姉の思惑と、同居の条件
実家がなくなったことに激怒した姉でしたが、そこまで里帰りにこだわるのには理由がありました。実は姉の夫(私の元婚約者)が仕事を辞めてしまい、生活費もまともに入れてくれず、家賃すら滞納している状態だったのです。
住むところもお金も尽きかけていた姉は、私に泣きついてきました。生まれてくる子どもに罪はないとはいえ、素直に助ける気にはなれません。しかし、私はある考えがあって、姉を私がひとり暮らしをするマンションに一時的に住まわせることにしました。
同居にあたり、私はいくつかの条件を出しました。生活費を入れられない代わりに体調に無理のない範囲で家事を手伝うこと、そして私の前で彼の話は一切しないことです。姉は約束は絶対守ると言い、私の家へ転がり込んできました。
しかし、姉は家事を満足にこなせませんでした。野菜炒めもまともに作れませんし、掃除は汚くなるまで待ってからまとめてしようと思っているらしく、部屋は散らかる一方。洗濯機の使い方もわからず、いちいち私に聞いてきます。スマホがあるのだから、調べればわかるはずなのに……。
数週間もしないうちに姉は不満を募らせ、「こんな窮屈な生活なら、お金がなくてもA太(姉の夫)と一緒にいたほうがずっといい。A太に迎えに来てもらって出て行く」と言い出しました。約束を破り、私があれほど聞きたくないと言った彼の名前もあっさりと口にしたのです。
私が姉を助けた本当の理由
「でも最近、A太と連絡が取れない」とぼやく姉に、私は理由を教えてあげました。彼が連絡を絶っているのは、消費者金融からの借金が膨れ上がり、さらに別の女性のもとへ逃げているからです。
私が彼の事情を知っていることに、姉は驚いていました。私が姉を家に置いたのは、生まれてくる子どもに罪はないと思ったから――それだけではありませんでした。2年前、追い詰められたあの悔しさを、私は一日たりとも忘れたことがありません。当時、婚約破棄の慰謝料を請求したかったのですが、2人の居場所がわからず泣き寝入りするしかなかったのです。
今回、姉から連絡が来たことで、少なくとも姉の現在の状況や住まいを確認することができました。姉を家に置いている間に、弁護士事務所を訪ね、着々と準備を進めていた私。弁護士を通じて調べてもらう中で、彼の近況も少しずつわかってきたのです。
弁護士に相談したところ、時効が成立する前であれば、彼には不当な婚約破棄について、姉には婚約を知りながら婚約解消に関与した第三者として、慰謝料を請求できる可能性があると言われました。結婚式場の予約や両家へのあいさつも済んでおり、婚約が成立していたことを示す資料も残っていたため、私は弁護士を通じて正式に姉たちへ慰謝料を請求したのです。
結局、姉は出産前に私のマンションを出ていきました。もちろん、生まれてくる子どもに罪はありません。だからこそ私は、出産して生活が落ち着くまでは家にいて構わないと伝えました。しかし姉は、私との約束を守る生活に不満を募らせ、出産前に自分から出ていったのです。
支払い方法については詳しく知りませんが、最終的に慰謝料は全額支払われ、私は姉たちとの連絡を完全に絶ちました。
現在、両親は新しい土地で穏やかに暮らし、私もようやく過去を断ち切って前を向いて生活しています。この穏やかな生活を守りながら誠実に生きていくつもりです。
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身内からの裏切りというつらい経験を乗り越え、前を向いて歩き出した家族。穏やかな時間がこれからも長く続くことを願うばかりです。信頼していた家族やパートナーからの裏切りは、心に深い傷を残します。悲しみや怒りに任せて感情をぶつけたくなってしまいますが、冷静に専門家に相談して法的な解決策を探ることが、自分の心と未来を守るための第一歩になるのかもしれません。人を傷つけないよう、誠実に生きていきたいですね。
【取材時期:2026年4月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※一部にAI生成画像を使用しています