顔から火が出る思い

きれい好きな友人の家に、私たち夫婦を含めた数人でお呼ばれして、お泊まりすることになりました。私は夫に「友人の家をなるべく汚さないように、特にお手洗いや洗面所などの汚れやすい場所は気を付けて、きれいに使うようにしてね」と念押ししていました。というのも、夫には以前から「立って用を足す」ことに強いこだわりがあったからです。
けれど到着して間もなく、夫がトイレに行った際、「ジョボボボ!」という大きな水音がリビングまで響いてきたのです。友人宅は壁が薄いとはいえ、まさかここまでとは思わず、私は顔が熱くなるほど恥ずかしくなりました。
リビングに戻ってきた夫に視線を送っても、本人は知らん顔。その直後、友人が無言で掃除道具を持ってトイレへ向かった姿を見て、申し訳なさと気まずさでいっぱいになりました。
明らかな音とにおいに
さらに、友人宅のトイレには「使ってね」と言わんばかりにスプレー型の消臭剤が目立つ位置に置かれていました。みんながそれを使う中、夫だけが使用する気配もなく、便をした後には下水の配管の故障を疑うほどの強烈なにおいがトイレ付近に漂っていました。
私は慌てて「スプレー使って」と小声で伝えましたが、夫は笑いながら「便は臭くて当たり前だろ。友人からスプレーを使ってほしいなんて言われてないし、そんな神経質になるなよ」と一蹴。笑っているのは夫だけで、周りは明らかにドン引きしていました。
その後も何度か同じような集まりはあったようですが、私と夫が呼ばれることはなくなりました。友人の判断は当然だと思う一方で、少し寂しさも感じました。
◇◇◇◇◇
呼ばれた側だからといって好き勝手に振る舞って良いわけではないと思います。自分の考えや習慣があったとしても、その場の空気や相手の価値観に一歩寄り添う気持ちがなければ、誰かを傷つけたり、信頼を失ってしまうこともあるのだと痛感しました。
著者:遠藤ちよ/30代女性・主婦
イラスト:マメ美
憧れの人の前で、つい出たひと言

中学1年生のころ、2歳年上の友人Aさんのお兄さんに恋をしていました。大人っぽくて落ち着いた雰囲気の人で、部屋の隣から笑い声が聞こえるだけで胸が高鳴ったのを覚えています。
当時の私は、なぜか“口の悪い女性”に憧れていました。少し不良っぽい言葉を使うのがカッコいいと思っていたのです。
ある日、Aさんの家に遊びに行ったときのこと。お兄さんも家にいて、隣の部屋から時々笑い声が聞こえてきました。そんな中、そろそろ帰ろうと思い立ち、何げなく口にした言葉が……。
「わりー、便所貸してくんない?」
その瞬間、お兄さんの部屋から「便所だってよ!」という笑い声が聞こえました。笑い声が耳に刺さり、顔が熱くなっていくのを感じました。
どうしてあんな言い方をしてしまったのだろう。「トイレ」と言えばよかったのに――。涙をこらえながら、私は家までの道をうつむいて歩きました。
◇◇◇◇◇
その日以来、私はできるだけ汚い言葉を使わないように気を付けるようになりました。丁寧な言葉づかいがすぐに身についたわけではありませんが、あの日の後悔が“意識するきっかけ”になったのはたしかです。
恋は結局かないませんでしたが、お兄さんは「お前は妹みたいなもんだと思ってるよ」とやさしく接してくれました。恥ずかしくも、今では笑って思い出せる青春のひとコマです。
著者:堂本晴斗/50代女性・主婦
隣にいるは姉だと思っていたのに

子どものころ、姉と本屋に立ち寄ったときのことです。2人で同じ棚を見ていたのに、いつの間にか姉は別の棚へ移動していました。
私は、隣にいた姉が移動していたことに気付かず、気になった本があったため、隣の人影を姉だと勘違いして声をかけてしまいました。
しかも当時マイブームだったモノマネで「ねぇ~」と、腕をつかんで話しかけてしまったのです。振り向いたのは40~50代の女性。いきなりなれなれしく話しかけられ、腕までつかまれたせいか、とても驚いた表情で「えっ?」と……。
人違いだと気付いた私はすぐに謝り、恥ずかしさのあまりその場を退散。近くにいた姉と合流できたものの、しばらくはその棚に近付けませんでした。
◇◇◇◇◇
それ以来、たとえ家族であっても見つけたときに腕をつかまないよう、また意図せず相手を不快な気持ちにさせることがないよう細心の注意を払っています。
著者:矢口るい/30代女性・アルバイト
イラスト:きょこ
まとめ
恥ずかしい失敗をすると自己肯定感が下がりがちですが、これらは自分の振る舞いを見直す大切なきっかけになります。他人の家でのマナーや言葉づかいなど、失敗から得た気付きを糧にすることで、周囲に対してより細やかな気づかいができるようになるはず。多少のトホホな記憶も、自分を成長させる「生きている証」として明るく受け止めたいものですね。
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※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
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