偏見丸出し!?
「片親で育つと愛情不足になりがちだから、お金に執着するって聞くよね。目立ちたがり屋で自己中心的な子も多いみたいだし」彼のお母さんは信じられない言葉を平然と口にしました。学歴や仕事を執拗に気にかけていた彼女にとっては、親戚やご近所に自慢できる「完璧な条件の娘」と結婚させることが、母親としてのステータスであり正義だったのでしょう。
彼だけでなく、彼のお父さんも「なんて失礼なことを言うんだ…!」と慌てて注意しましたが、彼のお母さんは「本当のことを言っただけでしょう?」とどこ吹く風です。
気まずくなった空気を和ませようとしたのか、彼のお父さんが「お茶をいれ直してくるよ。ケーキの準備もするから」とキッチンへ席を外したのですが……。その途端、彼女はさらにヒートアップ。「あなたとの結婚は絶対に認めないから。うちの息子には、両親がそろったきちんとしたご家庭のお嬢さんがふさわしいので」と私に向かって堂々と言い放ち、一方的に別れを迫ってきたのです。隣にいた彼も、母親の信じられない暴言に幾度も口を開きかけましたが、必死に怒りをこらえるように拳を固く握りしめていました。
スカートに広がる大きなシミ
ショックな言葉でしたが、ここで黙っているわけにはいきません。 「私は母と、亡き父にたくさんの愛情をもらって育ちました。家庭環境だけで人を判断するのは浅はかだと思います」 私が毅然と言い返すと、彼のお母さんは思い通りにならないことに腹を立てたのか、「偉そうに!」と机の上の湯飲みをわざとらしく倒したのです。
バシャッ! 中のお茶が跳ね、スカートに大きなシミが広がります。わざとやったのは明白でした。「何するんだ!」彼が立ち上がり、私をかばうように前に出ます。そして、彼のお母さんに冷ややかな視線を向けて「こんなひどいことをする人だとは思わなかったよ。もう二度と会わない」と短く宣言したのです。
彼女は一瞬ポカンとしていましたが、彼が私の手を取り、玄関へと歩き出すと大慌て!「えっ、ちょっと待って! どこに行くの!?」二度と会わないというのが本気の絶縁宣言だと、そこで初めてわかった様子でした。私たちは慌てて引き留めようとする彼女を振り切り、実家を後にしました。
実母の静かなる怒り
後日、実家で母や彼とくつろいでいると、チャイムが鳴りました。彼のお父さんが「直接謝罪したい」と訪問してくることは、あらかじめ彼から聞いていました。しかし、玄関を開けると、なんと、彼のお父さんに連れられて来るはずのない彼のお母さんまで一緒に立っていたのです。「息子から、あなたがどれだけ素敵な女性かよく聞いています。妻の無礼をどうか許してほしい」と彼のお父さんは深々と頭を下げてくれました。しかし、肝心の彼のお母さんは違いました。
「手が滑っただけなのに大げさなのよ。ちょっとお茶がかかったくらいで被害者ぶって息子を連れ去るなんて……。お父さん、この親子にだまされないで!」謝罪に来たはずが、反省するどころか、私の実家でも堂々と責任転嫁を始めたのです。その言葉を聞いた瞬間、私の母が静かに口を開きました。
「手が滑った、ですか。娘からは、わざと倒されたと聞いていますけれど。それに、ちょっとお茶がかかったくらいとおっしゃいますが、大切な服を台無しにされただけでなく、一歩間違えればやけどしていたかもしれません。親として、そんな非常識な言い訳をする方と、大切な娘を関わらせるわけにはいきません。今すぐお引き取りください」母の言葉に、その場の空気がピリつきました。
自業自得の結末
「お茶をわざと……? おい、どういうことだ!」事の重大さを初めて知った彼のお父さんの顔色が変わりました。「お前、事故じゃなくてわざとやったのか!? うそをついた上に、よくも平気な顔で……。相手のお嬢さんに、なんてことをしてくれたんだ!」
彼のお父さんが声を荒らげました。彼のお母さんはビクッと肩を揺らし、「違うの、わざとじゃないわ!」とすがりつこうとしますが、彼も、そして彼のお父さんも一切かばいません。
「みっともない言い訳はやめろ! 昔から君の人を見下すような態度にはうんざりしていたが、わざとお茶をこぼしたあげく、相手のご実家でこんな無礼な振る舞いをするなんて……本当に情けないよ。もうかばいきれない。しばらく実家に帰って頭を冷やしてこい」彼のお父さんがあきれ果てたように告げると、彼のお母さんはショックで絶句していました。
「ちょっと待ってよ! そんなつもりじゃ……」慌てて取り繕おうとする彼女をよそに、彼のお父さんは彼に向かって「妻のことは気にせず、幸せになってくれ」と告げました。自分の偏見や身勝手なプライドで相手を見下した結果、彼のお母さんは家族の信用を失うことになりました。彼のお母さんとはしっかり距離を置くことになりましたが、彼や私の母、そして彼のお父さんという心強い味方がいてくれたおかげで、私たちは心置きなく結婚へと進むことができそうです。
◇ ◇ ◇
家族の形はさまざまで、他人が口出ししたり勝手にジャッジしたりする権利は誰にもありません。また、「学歴」や「家庭環境」といった表面的な情報だけで、その人の本質や魅力がわかるはずがないのです。たとえ家族になろうとする相手であっても、そのすべてを完全に理解するのは難しいもの。だからこそ、まずは相手を知ろうと歩み寄り、その積み重ねが信頼関係を築いていく第一歩になるのかもしれませんね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。