結婚するまでは気づかなかった夫の二面性。私が好きになったのは、誰にでもやさしく気遣いのできる人だったはずなのに……。
外では理想の夫、家では別人
ある日、家族で私の実家へ行った帰りのこと。夫は両親に「妻と娘は僕の宝物です」と笑顔で話し、すっかり理想の夫を演じていました。うちの両親も「本当にこの人と結婚してよかったわねぇ」と言うくらいに……。
ところが車に乗った途端、夫の表情は一変。
「2時間も演技を続けるのって本当にダルい。質問ばかりされて疲れた」
そう吐き捨てたのです。
これが夫の本当の姿でした。外では誰からも好かれる夫を演じ、家では不機嫌で高圧的。保育園でも評判は良く、「素敵なパパですね」と褒められるたび、私は複雑な気持ちになっていました。
娘のために耐えてきた日々
休日に買い物へ行っても、夫は終始不機嫌。私が娘を少し抱っこしてほしいと頼んでも「疲れてる」と断るのに、知り合いや店員さんが近づくと急にやさしい父親へ早変わりします。
家では自分が最優先で、娘のおむつを替えている最中でも、自分の用事を優先しろと言わんばかりの態度でした。さらに、少しでも気に入らないことがあると暴言を吐き、「嫌なら離婚でもいい」と脅すような発言まで繰り返すように……。
娘のために家庭を守ろうと耐えてきましたが、このままではいけないと思い、私は夫の暴言やモラハラ発言を日付とともに記録するようになりました。
夫の二面性を暴いた娘の一言
記録を続けているうちに1年が過ぎ、娘は3歳になりました。
仕事から帰った夫に一生懸命話しかける娘。しかし、「疲れてるんだから邪魔するな」と突き放される姿を見て、私は本格的に離婚を考えるように。
そんなある日、保育園のお祭りにて――。
当日も夫はやさしいイクメンを演じており、保護者たちから「本当にやさしいパパですね」と褒められていました。
そのとき、娘が無邪気に笑いながら言ったのです。
「パパ、今日はやさしいね! いつもは私とママに『邪魔だな』とか『黙ってろ』って言うのに!」
その場の空気が一瞬で変わりました。夫は笑い飛ばそうとしましたが、周りの目に耐えられなくなったのか、焦ったように私のところへ。
ちょうど、私が人目につきにくいところにいたからかもしれません。夫は私に向かってこんなことを言ったのです。
「娘に余計なこと言わせたのはお前か!?」
「演技するのだってラクじゃないんだよ!」
そう言った瞬間、夫は真っ青に。
実は、私はその日園児たちの舞台発表の音響や放送を担当していたのです。私がいたのは放送設備のすぐ近く。オンになっていたマイクが夫の声を拾い、夫の暴言は会場中へ響き渡ってしまったのです。
静まり返る会場。振り返った夫の前には、言葉を失った保護者や先生たちが立っていました。
夫が守り続けてきた"理想の夫"という仮面は、自分自身の言動によって崩れ去ったのです。
私は一言だけ、「それが、あなたの本当の姿なんだよね」と言うと、夫は顔を真っ赤にして逃げるように園から出て行きました。
その後、私は記録していたモラハラの内容を携え、弁護士へ相談し、離婚に向けて手続きを進めました。夫はかなりごねましたが、無事に離婚は成立。これからは母娘2人で、誰の顔色もうかがうことのない、穏やかな毎日を築いていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。