タワマン暮らしを自慢する元カノ
元カノとばったり再会した日のことです。「久しぶりだね」などと話していると、元カノはすぐ近くにあるタワーマンションを指さし、得意げな顔をしました。
「私、今ここに住んでるの! ちなみに20階♪」
さらに、「夫は大手企業の部長で年収1000万円を超えてるの」と続けます。
「あなたは今どうしてる?」と聞かれたので、僕が「普通に会社員をしてるよ」と答えると、元カノは「そうなんだ。まあ、幸せならいいんじゃない?」と、どこか見下すような口調です。
昔から人と比べたがるところはありましたが、相変わらずだなと思い、僕は適当に聞き流していました。すると、娘がマンションを見上げ、不思議そうにひと言。
「でも、じいじのおうち、もっと上だよ?」
その瞬間、元カノの笑顔が固まりました。
娘のひと言に元カノが…!?
「え……どういうこと?」
実は、このマンションの最上階には僕の祖父が住んでいます。娘も何度も遊びに来ているため、「20階がすごい」と自慢する元カノの話が不思議だったのでしょう。
「祖父が最上階に住んでるんだ」
そう伝えると、元カノは「へ、へえ……」と気まずそうな顔になり、そそくさと去っていきました。
元カノの夫まで自慢を始めて
後日、娘と祖父の家へ遊びに行ったときのことです。マンションの入り口で、元カノとその夫にばったり会いました。元カノから僕のことを聞いたらしく、夫から「妻から聞きました。元カレだそうですね」と話しかけられました。
そして、「僕は今、ある会社で部長をやってましてね。ここは僕の収入だけで住んでるんですよ」と、夫まで収入でマウントを取ってきたのです。夫婦そろって同じような話をするのだなと、僕は少しあきれてしまいました。
そのとき、外から戻ってきた祖父が、元カノ夫婦に「こんにちは」と話しかけました。祖父は近所の公園をきれいにするのが日課で、この日もゴミ拾いをしていたようです。娘はうれしそうに祖父へ駆け寄りました。
「じいじ!」
その瞬間、元カノ夫婦の顔色が変わりました。
「え……もしかして、あなたのおじいさんなの?」
僕が「そうだよ。最上階に住んでるんだ」と説明すると、元カノ夫婦は「まさか……」と言葉を失いました。
話を聞くと、2人は以前から祖父を公園で見かけており、清掃の仕事をしている人だと思い込んでいたとのこと。そのため、「これもお願い」と、自分たちの空き容器を当然のように渡していたそうです。
祖父が伝えたこと
祖父は驚く2人を責めることなく、静かに告げました。
「あなたたちの話が少し聞こえていたけど、住んでいる階や収入で、人の偉さが決まるわけじゃないよ。誰にでも同じように接したほうがいい」
元カノの夫はしばらく黙ったあと、「……おっしゃる通りです。今まで失礼しました」と頭を下げました。元カノも、さすがに何も言えない様子です。
祖父は裕福な暮らしをしていても、それを人に自慢したことはありません。むしろ、誰に対しても態度を変えずに接する人です。
そんな祖父の姿を見て、僕はあらためて「祖父のようになりたい」と思いました。そして娘にも、人への接し方を大切にできる人に育ってほしいと願っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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