待望のわが子。幸せなはずの日常と、大きな違和感
しかし、そんな穏やかな生活に大きな影を落としていたのが、夫の存在です。娘が生まれるまでは仲の良い夫婦だと思っていたのですが、最近の夫の言動には首を傾げることばかりでした。
「最近娘のことばかり見てるよね。俺より子どもが大事なわけ?」
信じられないことに、夫は自分の娘に嫉妬して拗ねていたのです。育児に積極的に参加しようとする姿勢は皆無で、私がいちいち指示を出して、ようやく渋々おむつ替えを手伝う程度。少しでも私が娘にかかりきりになると、あからさまに不機嫌になる夫の機嫌取りまでしなければならず、子育て以上の疲労がどんどん蓄積していきました。
見かねた私の両親が、「親になる自覚が芽生えるのが遅い人もいるから」と娘を預かってくれ、たまには夫婦水入らずで食事に行っておいでと提案してくれました。私も、一度ゆっくり夫婦で話し合いたいと思っていたため、その厚意に甘えることにしたのです。
初めての夫婦の時間、直後に飛び出した信じられない言葉
レストランへ行く日、夫はここ最近見たことがないくらい上機嫌でした。子連れでは行けないような少し高級なお店を予約してくれており、私も新婚当時を思い出し、良いリフレッシュになりました。
食事中の会話は穏やかで、「もっと2人の時間が欲しい」と甘える夫に対し、私も「もっと子どもと触れ合って、3人の時間を楽しみたい」と伝えました。お互いの気持ちを素直に話し合えたことで、少しずつ歩み寄っていけるかもしれないと、その時は明るい希望を抱いていたのです。
しかし、実家に娘を迎えに行き、自宅に帰った途端、事態は急変します。初めて長時間母親と離れた寂しさからか、娘は火のついたように泣き叫んでいました。私が必死に抱っこしてあやしていると、なんと夫が烈火のごとく怒り出したのです。
「せっかく夫婦の時間を楽しんでたのに、結局そっちばっかりかよ! 全然俺をかまってくれないじゃん!」
信じられない言葉に、私は耳を疑いました。泣いているわが子を放って、大の大人の機嫌を取れと言うのでしょうか。唖然とする私に向かって、夫はさらにとんでもない暴言を吐き捨てました。
「こんなに俺たちの仲が悪くなったのは、全部こいつのせいだ! そんなに娘がいいなら、もう養子にでも出せばいいだろ!」
高熱で倒れた私
その夜、夫のありえない言葉にショックを受けたのか、これまでの心労が限界を超えたのか、私は40度近い高熱を出して倒れてしまいました。指一本動かす気力もなく、激しい悪寒の中で意識が朦朧としていきました。
翌朝、目を覚ますと、娘の声が聞こえません。
なんとか体を起こしてリビングに行くと、そこには娘を抱っこした夫がいました。私が倒れてしまったため、夫は一晩中、娘のお世話をしていたようです。
すると思いのほか娘がかわいかったようで、夫は憑き物が取れたような顔をしていました。
よくよく考えると、私は娘がかわいいあまり付きっきりで、夫と娘が接する機会を奪っていたかもしれません。夫が拗ねていた原因の一端は私にあったと思うと「ごめんね」という申し訳ない気持ちでいっぱいです。
夫も養子宣言を撤回。私と娘に謝罪しました。私も考えを改め、家族丸ごと大切にすると再確認。再び私たちは円満な夫婦に戻ったのでした。
◇ ◇ ◇
夫の心無い発言には驚かされましたが、奥さんが倒れたことで図らずも夫が育児の当事者となり、パパとしての自覚が芽生えてよかったですね。子育てをする中で、夫と子どもの距離を感じることもあるかもしれません。そんなときは、夫婦で育児について話し合い、子どもの安全や気持ちを第一に考えながら、父子で過ごす時間を少しずつ増やしてみるのも一つの方法ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。