欠席者が続出した懇親会の主催者は?
そんなある日、新しく就任したA社長から「部署の垣根を越えて、気軽に話せる飲み会をやりたい」と相談されました。希望者だけが参加する飲み会で、総務課の僕が幹事を担当。十数人の社員が参加する予定でした。
ところが、当日の夕方になって突然、同じ部署の社員から次々と欠席の連絡が入ったのです。不思議に思っていると、部長から電話がかかってきました。
「今日の飲み会、お前が仕切ってるんだってな」
「はい、そうですが…」
僕が答えると、部長は鼻で笑うように「みんな忙しいんだから、お前の飲み会に付き合わせる必要はないだろ。うちの部署の連中には、行かなくていいって言っておいたから」と言っていて……。
どうやら部長は、僕が幹事をしていることから、僕が自分で企画した飲み会だと思い込んでいたようです。
これが社長の力!
僕が事情を説明すると、A社長は驚いた表情を見せました。料理はすでに人数分用意されており、大幅なキャンセルはできませんでした。
「そっか…それは悲しいけど、仕方がないね。せっかく集まったんだから、今日を楽しもう」とA社長は言ってくれました。
しばらく飲んでいると、A社長が「そういえば、いつもお世話になっている取引先のB社長たちも、この近くで飲んでいるらしい」と話しました。
B社長とは長年付き合いがあり、A社長とも親しい間柄。A社長が電話をかけ、事情を話すと、B社長は「それなら、こっちも何人か社員が残ってるよ。よかったら一緒に飲もうか?」と言ってくれました。
ほどなくしてB社長と社員数人が合流。普段は仕事の場でしか顔を合わせない人たちとも話すことができ、飲み会は思いのほか盛り上がりました。料理もほとんど無駄にならず、有意義な時間となったのです。
青ざめた部長の末路
翌朝、後輩のひとりが僕のところへ来て「昨日はすみませんでした。部長から『今日は行かなくていい』『わざわざ課長に付き合う必要はない』と言われて……」と謝罪してくれました。ほかにも同じように言われ、参加を取りやめた社員がいたようです。
その直後、部長が満足そうな表情で声をかけてきました。
「昨日は大変だっただろ。料理も余ったんじゃないか?」
僕は「それなら大丈夫でしたよ」と事情を説明。部長の表情が変わりました。さらに、「そもそも昨日の飲み会は、A社長が提案して、僕が幹事を任されたものなんです」と伝えると、部長の顔色は一気に青ざめて……。
部長は最後まで、僕が個人的に企画した飲み会だと思っていたようです。その後、A社長の耳にも、部長が社員に不参加を促していたことが伝わりました。
実は部長については以前から、威圧的な言動について複数の相談が人事に寄せられ、事実確認が進められていたそうです。今回の件も含めて正式な処分が決まり、部長は管理職から外れて別部署へ異動。職場の雰囲気も明るくなり、僕自身も、立場ではなく信頼関係を大切にしながら仕事に向き合っていこうと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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