おむつの機能の向上とともに、おむつをはずす年齢が、近年遅くなってきているといわれています。年齢が進むほど、おむつの排泄に慣れている期間が長くなり、トイレトレーニングが思うように進まずに、焦ってしまったり悩んでしまったりするママもいます。
今回は、トイレトレーニングにもつながる、2歳前後の「おむつなし育児」についてお話しします。
おむつなし育児とは?
おむつなし育児とは、おむつをせずにおしっこやうんちがだだ漏れというわけではなく、おむつに頼りすぎず、できるだけ自然な排泄の感覚をつけられるようにすることです。おむつをつけたままでもできます。おむつなし育児は、0歳以下の月齢が低いお子さんほど、おむつでの排泄に慣れていないのですすめやすいのですが、2歳ごろからでも始めることができます。
生まれてから2年もの間、おむつの中で排泄をすることを学習したお子さんにとって、トイレという穴のあいた開放空間で排泄をするということを学習し直すことは大人が思っている以上に大変です。トイレやおまるで排泄するという感覚はすぐには育たず、時間がかかります。お子さんに合わせて焦らずゆっくりと進めていくことが大切です。
「おしっこ、出た!」がわかるようになるコツ
おむつに排泄することに慣れていると、自分からおしっこが出たというのがわからなかったり、うんちが出ても不快感なく気にせずに遊んでいたりすることがあります。まずは思いきってパンツにしてみるというのも良いでしょう。
洋服の着替えや床が汚れることが心配であれば、汚れても気にならないようにシートやマットを引いた場所で過ごす、決まった時間(30分など)だけにする、パンツを○枚濡らしたらおしまいなど、ルールを決めても良いでしょう。
おむつをはずし始めたばかりの時期は、排泄感覚ができていないので頻尿状態になっていることも多いのですが、1〜2カ月程度時間が経つと排尿間隔が落ち着いてきます。出たことがわかるようになったり、出たことを教えてくれるようになったりしたら「ありがとう」「わかったんだね」などと、ほめてあげるようにしましょう。
おしっこやうんちが出るサイン・タイミングは?
トイレトレーニングの相談で多いのは、おしっこが出る前に教えてくれない、まだ言葉が出ないからいつ出るのかわからないということがあります。おむつなし育児の基本は、最初はお子さんから尿意や便意を教えてくれることは期待しないことが大切です。
おむつの外で排泄する経験を繰り返していくうちに、徐々に感覚をつかみ、排泄前に仕草や言葉で教えてくれるようになってきます。おしっこが出る前のサインとして2歳ごろのお子さんで多いのは、落ち着かなくなる、足を交差させてモジモジする、股間を触るなどがあります。うんちが出る前のサインとしては、おならが出る、いきむ、特定の場所に隠れる(机の下、カーテン、部屋の隅など)などがあります。
サインがわかりにくい場合は、朝や昼寝から起きたとき、ご飯食べたあと、外出から帰ってきたときなどに誘ってみましょう。この時期は、トイレが怖かったり、遊びに夢中で中断したくなかったりすることもあります。おまるにしてみたり、「今はおむつでもいいよ。次はトイレに行こうね」と話してみたりしても良いかと思います。
2歳ごろは大人のマネをするのも好きな時期なので、ママがトイレに行くときに誘う、おしっこをするところを見せるなども良いでしょう。
「おしっこ、できた!」のためのコツ
おしっこが出るサインがみられたら、おまるやトイレに座ってみましょう。お風呂など裸になったときに、おしっこをするようにすると感覚が分かりやすいお子さんもいます。最初は出ないことも多いので、3〜5分程度座らせて様子をみて出なかったり、嫌がったりするようなら切り上げるようにしましょう。
おしっこが出やすいように、膀胱の筋肉を緩ませる「シーシー」という声かけや、うんちの場合は、「うーん」という声かけをします。リラックスできるようにトイレに好きなキャラクターのシールなどを貼ったり、歌を歌ったり、絵本を見せたりしても良いでしょう。言葉が発達してくる時期なので、おむつをはずす日を親子で決める、その日におむつかパンツにするかを本人に選んでもらうのも良いかと思います。
外出などでおむつにする場合は、「今日はすぐにトイレに行けないかもしれないからおむつにしてもいいかな? トイレに行けそうだったら行くようにするね」などと事情を話してあげてくださいね。
排泄機能の発達は個人差も大きいので、周りの大人が焦らずにお子さんの気持ちに寄り添うことが大切です。パンツでおしっこやうんちをしても慌てたり怒ったりせずに、トイレやおまるで排泄できたときには「スッキリしたね」「良かったね」と一緒に喜んであげましょう。
<参考>
おむつなし育児研究所 「おむつなし育児アドバイザー養成講座テキスト」