緊張で食欲が出なかった
その日、夜中2時ごろから定期的なおなかの張りと痛みが始まり、朝6時には10分間隔になったので、産院へ向かうことにしました。自宅で朝食を少しでも食べておこうと思い、やっと食べられたのがロールパン1個。痛みよりも、緊張のせいでそれ以上は食べられませんでした。
もっと食べられると思っていたので、自分でも驚きました。想像以上に初めての出産に対して緊張していたようです。しかし、このときにもっと食べておけばよかったと今なら思います。なぜなら、陣痛が強くなってからの食事はもっと大変だったからです。
陣痛の合間に食べることはとても大変!
入院し、強い陣痛が8分間隔になっても子宮口が開かず、分娩がなかなか進みませんでした。「長丁場になるから食事をしっかり食べてね」と助産師さんから言われましたが、痛みで思うように食事がとれなくて困りました。
出産までの間に昼・夜・翌日の朝と3回食事が出ましたが、食べられたのはパン・ご飯を数口とフルーツを少しだけ。痛みで吐き気がする……、それでも食べなければ体力がもたないと思い、持参したゼリー飲料などを無理してとりました。
「何でもいいから食べて」と言われるたびに憂うつで、あれほど苦痛に感じた食事は生まれて初めてでした。そして、入院の前にもっと食べておいたらよかったなと後悔しました。
出産が終わるころには体力も限界
27時間かかって無事出産を終えました。出産時は気も張っていて頑張れましたが、最後は体力の限界。水分もあまりとれず、食事も出産後すぐには食べられそうにない私の状況を見て、出産後も追加して1Lの点滴をしてもらいました。
私はぐったりして動けず、産後も数日しんどくて完全にエネルギー切れな状態でした。3日くらいして食事をしっかりとれるようになったら、やっと元気になりました。
出産翌日の朝に体重を測ってみたら、妊娠前から6kg増えていたはずの体重が妊娠前の体重からさらに3kg減っていて、どれだけ出産で体力を消耗するのか身をもって体感し、食事をとることの大切さを感じました。
陣痛が始まると、食事をとることすら大変です。私は分娩時間が長かったので、特に食事をとってエネルギーを補給しておくことの重要さが身に染みました。私の場合は入院前の朝食が、出産に向けたエネルギー補給をしっかりできる最後のタイミングだったな、と思います。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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イラスト/塩り
監修/助産師REIKO
著者:山下 ひいこ
一児の母。看護師・鍼灸師の資格を持ち、逆子治療やマタニティケアなどを行っている。自身の経験を生かし、不妊や妊娠・育児に関する体験談を中心に執筆活動を行う。